訳あり旅映画2題 -その2-

訳あり旅映画2題 -その2-

『ベイビーブラザー』
2,3日前にAmazon Prime Videoで鑑賞。
実は、この映画の字幕(翻訳)は、友人がやっているそうで、それを教えてもらったので早速観てみました。

見てすぐに感じたのは、「イギリスの色だ~、イギリスの景色だ~」という事。
もうこれだけで、大好き間違いなし。
って、全く映画の感想になってないし、とても失礼な事言っていますが、本当に好きなのです。

この「イギリスの色」をすごく意識するようになったのは、10代の頃、初めて『小さな恋のメロディー』を観てからだと思います。
あの瑞々しい、緑、湿気を帯びたような空気感、深い味わいのある茶色。
今までも、色々な所で言ってきた(このブログにも書いたかも知れない)英国映画特有の色の深さ、美しさ、瑞々しさ。
本当に大好き。

「訳あり旅映画」その1で取り上げた『ザ・ピーナッツ・バター・ファルコン』は、アメリカの映画。
同じように森の中を歩いても、川沿いの道を歩いても、色や空気感、湿度が全く違うんです。
わかってもらえたら嬉しい。

ここまで「色」の事しか言っていませんが、映画の話をいたしましょう。
『ザ・ピーナッツ・バター・ファルコン』同様、この映画も実に訳あり旅。

この映画の家族関係とても複雑で説明が大変なので、Amazon Prime Videoの説明文を引用させていただくと
「父親の違う3人の兄弟。そして母が死ぬ時に彼らは別々の施設や里親に預けられていた。ある日、次男ケーシーは里親に預けられた生後10ヶ月の弟を誘拐し旅に出た。その事実を知った兄がケーシーを探し出す。そしてケーシーの父親を見つけるためにスコットランドへ逃走する。」まあ、こういうことなのかな。

次男のケーシーが主役で、追いかけてきた長男と2人(+赤ちゃん)で、旅というか逃避行をするわけです。
長男は、はじめ金目当てみたいな所もあったのだけど、だんだんと、弟たちへの思いが深まっていく。
その長男のぶっきらぼうな優しさが実に良い。
次男は元々優しさのかたまりで、ちょっと危なっかしいほどに優しすぎる少年。
そんな2人(+赤ちゃん)が、旅の途中で出会う人や、事件のひとつひとつがこの映画を形づくっています。

中でも、今、このタイミングで観たからこそ、深く印象に残る言葉がひとつありました。
長男の友人(軍隊に入っている)が、言った言葉
「知ってるか、アフガニスタンでは5歳になるまで名前をつけない」
重く悲しい言葉。

この映画、主人公が優しさに溢れているからこそ、悲しく切ない気持ちが、度々こみ上げてきます。
優しさと、社会、現実、との折り合いの悪さよ。
でも、やっぱり、それでも、優しくありたい。
と思うのでした。

(追記)
この映画を観ながら、ブログに書こうと思っていて、すっかり忘れていた事があります。
それは、度々(時には若干形を変えて)流れる印象的な音楽の事。
とても素敵な音楽で、この映画のトーンとすごくマッチしています。
(たぶん)ウクレレの音色で、どこか物悲しいカッティングのフレーズが、何かに似てるなぁ、と思いながら観ていました。
それはPaul McCartney「Ram on」のイントロだと、途中で気づいたのですが、ウクレレなのにもの悲しくなるのも、英国っぽいなぁ、と思った次第。

Dorutan


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