アコースティック音楽嗜好 ‐51‐
珠玉の小品、隠れた名曲 その27
今日取り上げる曲は、Rory Gallagherの「I’m Not Awake Yet」
この曲の事を書く前に、まず、『3大「ロ」ギタリスト』の事を書きたいと思います。
私がロックを聴きはじめた1970年代、ロックの世界には『3大ロックギタリスト』と呼ばれている方々がいました。
(きっと今でもそう呼ばれていると思います)
それは、言うまでもなく、エリック・クラプトン、ジミー・ペイジ、ジェフ・ベックの3人。
その3人とは別に、ロックの世界で『3大「ロ」ギタリスト』と呼ばれている方々がいました。
「なんじゃそりゃ?」と思った方、正しい反応です。
私が勝手に呼んでいただけなので。
その3人とは、ロリー・ギャラガー、ロイ・ブギャナン、ロビン・トロワー。
まあ、要するに『3大、頭に「ロ」がつく、ギタリスト』という事です。
もし『3大「ロ」ギタリスト』と聞いた瞬間にピン!ときた方がいたら、その方はきっと、私と同じような感覚でロックを聴いてきた人。
これ、ただ適当に語呂合わせをしているわけじゃなくて、この3人、日本でのレコードセールス的に同じような立ち位置にいたような気がするのです。
3大ロックギタリストほどの知名度はなく、当時のレコード会社も、ワーナーパイオニア、東芝EMI、CBSソニーなどではなく、なんとなく地味なポリドール、キング。
(まあ、クラプトンもポリドールでしたが)
その3人、地味ながらも、70年代にはけっこうな頻度で、しっかりとソロ・アルバムをリリースしていました。
3人ともギタリストで、ソロ・アーティストとして、自らの名前でレコードを出し続けていたという所も共通しています。
音楽雑誌の広告や、レコード屋さんでもらう小冊子(内容は、文庫目録のレコード版みたいなもの)を見ては、妙に気になっていた3人。
とはいえ、当時、中学生~高校生なので、少ないお小遣いから買う1枚のレコードは、どうしても安心して買える有名どころ。
Deep Purple、Pink Floyd、The Rolling Stonesとかね。
なかなか、冒険は出来ない。たまにしたけど。
そんなわけで「気になりつつも、ほとんど聴いた事がない。」「レコードを一枚も持っていない。」それが私にとっての『3大「ロ」ギタリスト』
その後、時は流れ、私も大人になり、自由に出来るお金もグンと大きくなった頃。
時あたかもCDが世間を席捲、レコード屋さんの店頭から急速にレコードが消えていく、そんな時代。
私は、中古レコード屋さんに赴いては、何かの恨みでもはらすかのように、学生時代に気になっていたけど買えなかった、あれやこれやを夢中で買い捲っていました。まさに大人買い。
その中には、もちろん『3大「ロ」ギタリスト』のレコードも多量に含まれていたのです。
(100円~300円の段ボール箱から発見、救出したもの多数)
そうやって大人になってからやっと聴いた『3大「ロ」ギタリスト』
3人それぞれに思う事は、あるのですが、私の心に一番フィットしたのが、このロリー・ギャラガー。
その理由のひとつには、アコースティック成分が多少含まれている事があったかも知れません。
(他の2人の70年代ソロアルバムには全くと言っていいほどアコースティック成分なし)
それで、やっとこの曲「I’m Not Awake Yet」ですよ。
前置き長過ぎですね、すみません。
これは1971年に発売された、ロリー・ギャラガーの2ndソロアルバム『Deuce』に収められた1曲。
このアルバム、個人的に1番気に入っていて、改めて聴いてみると、70年代物でアコースティック成分が1番多いのはこれかも知れません。
(2003年には『Wheels Within Wheels』というアコースティックアルバムを出しています。愛聴盤)
この 「I’m Not Awake Yet」 、聴いてみると、なんとなく民謡的なリズム、メロディーを感じると思います。
こういうのが、私のツボを突いてくるのです。
ロリー・ギャラガーは、アイルランド出身で、アイルランド民謡的な風味がたまに出てくるのですが、そこがまたたまらんのです。
このアルバム『Deuce』には、他にも「Don’t Know Where I’m Going」、「Out Of My Mind」など、アコースティック系の愛すべき小品と言える曲が収められています。
私と趣味があいそうな方(いますか?)には、お勧めの1枚。