アコースティック音楽嗜好 ‐58‐
民謡、伝承曲からの影響(7)
今回は、Robert Plantが2002年に出したアルバム『Dreamland』を丸っと取り上げたいと思います。
Robert Plantといえば言わずと知れたLed Zeppelinのヴォーカル。
そしてLed Zeppelinといえば、私達の世代でロックを聴いてきた人にとっては必修科目ともいえる存在。
私も、もちろん聴いていました。
しかし、私のような間違った聴き手(アコ好き)は、ハードでヘヴィな曲たちよりもついつい「Bron-Yr-Aur」にうっとりしてしまったりしていたわけですが。
それでも、やっぱりLed Zeppelin は、一通り聴いてきたし、今でも、たまに聴きたくなる事があります。
Led Zeppelin後のソロワークやユニット活動は、それなりに聴いてきましたが、正直、熱中して聴き込むほどではありませんでした。
ところが、このアルバム、Robert Plantの『Dreamland』に関しては、Led Zeppelinのアルバム達と比しても劣らないほどに、一時期、かなり聴き込みました。
まあ、10代の頃に聴いたLed Zeppelinと比べたら、というよりも、あの頃の自分と比べたら、聴き手としての熱中度や熱量は劣りますが。
それでも、このアルバムの「好き度」は、自分の心の中のランキングでは、かなり高い位置にあります。
まず、一聴して気づくのは、中近東系の民族楽器の響き。
それが、ギターやドラムなどロック的な楽器と融合し、えもいわれぬ音世界を作り出しています。
そういう音楽、そういう音に本当に弱いのです、私。
とはいえ、そういう音ならなんでもOKというわけではなく、そこはRobert Plantの歌い手としての素晴らしいパフォーマンスがあってこそ!
Robert Plantの歌こそが、このアルバムの存在を際立たせているのです。
また、私は民族音楽そのものに関しては、それほど熱心な聴き手ではないという面もあります。
エジプト、トルコなどの伝統的な民族音楽のレコードやCDも多少は聴いてきましたが、熱中するまでには至りませんでした。
それよりも、ロックやフォーク、ポップスのフィールドの中で民族楽器が効果的に使われていたり、民族音楽の旋律、曲調が取り入れられていたり、そういった音楽により惹かれてしまうのです。
民族楽器と西洋音楽の融合といえば、先日取り上げたThird Ear Bandのアプローチとも通じるのですが、正直な所、Third Ear Bandの音には、ちょっと調子があっていないような部分があり、聴いていて、若干気持ちが悪くなるような所が私にはありました。
(ロックのフィールドにおける貴重な先達としての意義はとても大きいと思っています)
Third Ear Bandから30年ほど経って発売された、この『Dream Land』。
民族楽器が見事に融合した、洗練されたロックミュージックを聴かせてくれます。
ケルト風のイントロで始まる、1曲目「Funny in My Mind (I Believe I’m Fixin’ to Die)」
歌が入ると一気にロック風味が強くなる。
このアルバムでのRobert Plantは、とても油が乗っていて、時折Led Zeppelin時代を彷彿とさせるような迫力のある謡回しも聴かせてくれる。キタコレ感。
次の「Morning Dew」は、中近東色強めのイントロからの、しなやかかつ迫力の歌。
この曲、聴き覚えがあると思いつつ、聴き進むと、同じ曲のカヴァーがJeff Beck Groupのアルバム『Truth』にも入っていた事を思い出しました。
そちらはRod Stewartが歌っているのですが、けっこう歌の表現は近い物があるように感じます。
この『Dreamland』は、全10曲(+ボーナス1曲の物もあり)中6曲がカヴァー曲。
3曲目にはBob Dylanの「One More Cup of Coffee」も収められています。
これも聴き物!
と、この調子で全曲紹介していきたいところなのですが、そこは、ちょっと割愛して、他に個人的(アコ好きとして)大お勧め曲は、Tim Buckley 「Song to the Siren」のカヴァー。
いや、このアルバムは、全曲お勧めです。
学生時代にLed Zeppelinにはまっていたけど、このアルバムは聴いた事ない、という、おじさま、おばさま方には、特に、聴いて欲しいと思うのです。
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