日: 2024年10月19日

Van Morrison『Enlightenment』

私を形成しているもの

今の自分を形成する一部になっていると言えるほど印象に残る様々なものを「私を形成しているもの」としてとりあげていきます。他のSNSなどに投稿したものを加筆修正して再掲載しているものもあります。
※この下に書かれた年号は作品の発表年ではなく私がその作品に初めて触れた(と思われる)年。またはそのイベント、出来事を経験した年。
※ただの思い出話です。


1990

Van Morrison「Enlightenment」

Van Morrison『Enlightenment』(1990年発売)

はじめて(ほぼ)オンタイムで買ったVan Morrisonのアルバムがこれ。
その時私、もうじき30歳。

Van Morrisonの事はもちろん知っていました。
映画『Last Waltz』で観てたし、『Last Waltz』の3枚組レコードも持ってたし。

でも、本格的に聴き始めたのはここから。(遅っ!)

『Enligtenment』を輸入(UK)盤で購入。
すっかりやられました。

圧倒的な歌の力、声の深み、説得力。
そして演奏、音がとにかく心地良かった。
このアルバムは今でも、年に数回は必ず聴くアルバム。

そしてずぶずぶとVan Morrison沼にはまって行くのですが、この時期、一気に沼の奥深くまで引き摺り込まれるような、とても面白い出来事がありました。

某サイトで(15年も前に)日記として公開済みなのですが、ここに丸っと再掲して、この項終わりといたします。


『レコードの神様(第2話:Van Morrison)』

オレには、レコードの神様がついている。

そう思う事がこの人生の中で何度もあった。
30代の頃オレは、Van Morrisonの虜だった。

時代はCDに切り替わり、レコードは急速に姿を消していた。
当時、輸入盤で手に入れた「ENLIGHTENMENT」「No Guru, No Method, No Teacher」をむさぼるように聴いていたオレは、当然の事ながら、他のアルバムも聴きたくてしょうがない状態になっていた。

その頃、Van Morrisonの日本盤レコードは全滅廃盤。
初期の物はまだCD化もされていなかった。

オレは、輸入盤、中古盤店に行くと、必ずVan Morrisonを探した。
しかし、どこも品切れ、たまに見かけても高めの値段設定で、購入には踏み切れない。

悶々とした気持ちを抱え、Van Morrisonを求めて御茶ノ水あたりをさまよっていたオレは、中古盤店に入ると、いつものように「V」のコーナーを漁った。

ない。

一枚もない。

空しかった。

空ろな気持ちで足元を見ると、300円均一段ボールがいくつか転がっている。
仕方がない・・・
卑屈な気持ちで、体を丸め、床のダンボールを漁る。

「ん!」

「んんん!」

「何!?」

『AVALON SUNSET』ハケーン!」(なんて当時は言いません、今も言わないけど)

「うほ!マジ!?300円!」

ニヤケた。

心の底から喜びが込み上げた。

さらに漁ると

「んん!」

『WAVELENGTH』ハケーン!」

「300円!」

「2枚で600円!ってマジ?」

さらに

「ん!ん!ん!」

『BEAUTIFUL VISION』!」

「300円!」

「3枚で900円!」

はっきり言って、ちょっとしたエクスタシー状態でした。
よだれをたらしてたかも知れません。

しかも、さらにさらに、まだまだVan Morrisonのレコードは出てきたのです。

恍惚・・・

結局、その日、オレは7枚のVan Morrisonのレコードを抱え、満面の笑みを浮かべて帰途に着いたのである。

7枚で2100円!!

その頃、1枚でも、もっと高い値段がついてる店がほとんどでした。

今なら世界中の人にやさしくなれる。
もちろん地球にも。

そんな事も考えたかもしれません。

家に帰って『AVALON SUNSET』を、ターンテーブルに乗せる。

「ああ・・・・」
「至福の時」

買ったレコードは全て輸入盤。

しかし、ジャケットの中を見ると、なんと!
CDのライナーノーツが丁寧にコピーされて入っているではありませんか!!

ライナーノーツのコピーは、当時、日本盤CDが発売されていた物(上記の3枚)には、全て入っていました。

「ああ・・・・(マジ涙目)」

このレコードは、間違いなく、今日オレに巡り合う運命だったのだと思った。

「神様・・・」

「レコードの神様・・・」

オレは天井(天上)を見上げ、そっと手を合わせた。

ような気がする。