入院日記、最終章。
昨夜は、一晩中、色々と大変でした。
ほとんど眠れなかった。いやまあ、細かく短い睡眠を何度か繰り返しているうちに朝になった。って感じかな。
私の部屋は4人部屋で、私以外は、かなり高齢の方々。
みなさんそれぞれ色々と抱えていらっしゃるので、けっこうな問題行動もある。
あまり具体的な事を書くのも、(私の心情的に)差し障りがあるので詳しくは書きませんが、大体みなさん昼間は静かによく眠っていらっしゃる。
で、事件は深夜に起きるのです。
そんな中でも、私はけっこうしっかりと眠れていました。
昨夜までは
自分の順応力にも驚くばかりなのですが、どんなに深夜騒がしい状況になっても、突然明るくなっても、ちゃんと眠れていたのです。
昨夜までは
あっ、でも、もしかしたら、それは順応力だけではなくて、私の体の状態もあったのかも。
手術後は特にぐったりとしていたから、何よりも体を回復させる事に、体も心も集中していたのでしょう。とにかく、夜中、何度目が覚めるような事があっても、けっこうしっかり眠りにつくことが出来ました。
しかし、昨夜はそういうわけにはいかなかった。
消灯後、どこからともなく聞こえてくるハミングのような唸り声のような音。
ときおりかなり大きくなる。
どうやらAさんが鼻歌を歌っているようだと分かる。
すぐに静まるだろうと思っていたが1時になっても、2時になっても静まる気配はない。
その鼻歌のメロディーは時々途切れるのだが、途切れている間は何やらしゃべり続けている。(内容は聞き取れない)
ふだんは、誰かが大いびきをかこうが、大声を出そうが、(あまり)気にせずにいられるのだが、昨夜は気になって仕方なかった。
変な鼻歌に音楽脳が刺激されてしまうのか、なんとも頭の中に入り込んでしまうのだ。
しかし、どうにか眠りにつけたかな、と思った頃に突然、私の居留エリアを区切っているカーテンが、するっと開けられた。
ぼんやり目を覚ますと、薄暗い中、Aさんがカーテンの外からこちらを覗き込んでいる。
何事!
しばらく何を言うでもなくそのまま。
B級ホラー映画か、と。
少しして、何か言葉を発したのだけど聞き取れず。
ぶつぶついいながら去って行った。
カーテン開けたままで。
Aさんは、その後、自分のエリアに戻り、何やら歌ったり、しゃべったり。
この一件で、またしばらく眠れなくなり、ぼんやりとしている時にさらに大きな事件が起きました。
前述のように具体的な事は書きませんが、Aさんの様子を見に来た看護師さんが、何かを発見。
応援の看護師さんを呼んでバタバタと大騒ぎ。
これが大体、午前4時過ぎの話。
まあ、なんだかんだと5時頃にはウトウト出来たのかな、と思ったら6時。朝の検温で起こされ、今に至る。
だからと言って別にイライラしているわけでも、事件を起こしたAさんを不快に思っているわけでもなく、仕方ないよね、と、素直に受け止め、受け入れている私がいます。
若い頃だったら「ざけんなよ!」みたいな心境になったかも知れないのだけど、もはや、私、Aさん側の人間なのでね。
ただ、介護施設で起きる虐待事件や、介護疲れで親を殺害なんて事件の根っこってこういう事の繰り返し、エスカレートで、起きるのだろう、と、割としっかりとした実感として感じ取ってしまったな。
具体的な事は書きませんが
今は、朝食が終わった午前8時。
Aさんのエリアからは、また鼻歌が聞こえています。楽しそうで何より。
写真はイメージです