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Roger Waters – Comfortably Numb 2022

この数日間、20日にどるたん+しゃあみんのワンマン公演があり、同日夜には、ワールドカップ2022カタール大会が始まり、心の中は大忙し状態。
どうにか一試合でも多く観戦したいというサッカーモードと、ワンマン公演の余韻からか新しい曲の欠片が浮かんできて(は消えていってしまうので)、ギターやキーボードを手にしては形を残す作業に追われています。

そんな中、YouTubeのRoger Watersチャンネルにて、突如として公開された動画がこれ。
「Roger Waters – Comfortably Numb 2022」

Roger Waters – Comfortably Numb 2022

チャンネル登録しているので、新着動画の案内が来ていて、すぐに観たのだけれど、鑑賞中は完璧にこの世界の中に引き込まれ、その時間だけは、サッカーも音楽作成も頭の中から消えてしまいます。

数回繰り返し観て、その間、何度もじわんと涙が浮かびました。

この曲で涙を流すのは、たぶん三度目。

一度目は、1990年 Roger WatersのBerlin ConcertをTVで観たとき。
この公演では、他にも涙が出た場面がありますが、Van MorrisonやThe Bandと共に演奏されたこの曲を観た時にもやはり涙が出ました。
この時は、曲や歌詞云々よりも、Van Morrison、The Bandがこの曲を歌う姿、そして声、パフォーマンスに心を打たれたという面が大きかったように思います。

Roger Waters, Van Morrison, The Band – Comfortably Numb

この公演のビデオはTV放送を録画したもの、後にDVD化されて市販されたもの、共に何度観たか分からないぐらい、何度も、何度も観ています。

二度目は、2002年のRoger Waters来日公演を東京国際フォーラムで体験した時。
この時はとにかく演奏もステージングも圧巻で、この曲の世界観がダイレクトに心に響くような感覚があり、呆然と涙していました。

そして三度目が、この「Roger Waters – Comfortably Numb 2022」
アレンジなどに特に大きな違いはないのだけど、2022年のRoger Watersが歌う「Comfortably Numb」の説得力たるや。
そして、歌詞が(部分的にではありますが変換脳を通さずに)ストレートに心に伝わるようになったように感じます。これは60数年生きてきた結果自然に身についたもの。
さらに、この曲を形を変えて何度も体験しているうちに、私の中での重要度もアップしているのかも知れません。
様々な要因が絡み合って、この「Comfortably Numb 2022」は自分の中で特別なものとなりました。


私にとって、Pink Floydといえば、Syd Barrettが超特別な存在なのですが、Syd Barrettがいなくなってからの(というか、Pink Floydの歴史の中のほとんどに実体としてのSyd Barrettはいないのだけど)Pink Floydの中で、一番重要な存在が、Roger Watersなのです。

私がPink Floydで好きなアルバムを3枚あげるとするならば

  1. 「夜明けの口笛吹き」
  2. 「炎~あなたがここにいてほしい」
  3. 「ファイナルカット」

となります。
ちょっと一般的なファンのチョイスと違うと思われるのが、3に「ファイナル・カット」が入っていること。このアルバムは、かなりRoger Waters色の強い、ソロアルバムといってもよいぐらいに強い、そんなアルバム。

このように、私にとって重要度の高いアーティスト、Roger Waters。
コロナ禍において、さらにその重要度があがったように思います。

というのも、この数年、この「Comfortably Numb 2022」以前にも、何度か、Roger Watersチャンネルの動画に泣かされているのです。

Roger Watersは、コロナのロックダウン期間中にLockdown Sessionsというリモートセッションの動画を何本かあげていて、そのどれもが素晴らしくジンと感動してしまいます。
中でも大号泣レベルだったのが「The Gunner’s Dream」

Roger Waters – The Gunner’s Dream

好きなアルバムTOP3に入る「ファイナル・カット」からの曲。
Roger Watersのピアノ弾き語りで淡々と始まる歌い出しから、ちょい涙。
曲の骨格を支えるように、ベース、キーボードが入り、ジワーンと感動が続く。
曲の中盤、「And hold on to the dream」の「dre~am」で、ドラムやコーラスがドカンと入ってきた所で、全身ゾクッとくるような衝撃波が走り涙が溢れ出す。
その後ずっと感動に包まれるように聴き進み、Roger Watersのヴォーカルに集中。
そして「And no one kills the children anymore」という歌詞が搾り出された瞬間に、また少し涙。
直後「Night after night」で再度、全員ドカンと入ってきた所で、涙の堤防大決壊。
静かにエンディングを迎え、余韻でさらに涙。

長々と書きましたが、この曲を聴いて、この動画を観て、誰もがこんな衝撃に打たれるような事はないと思います。
誰にでも軽い気持ちでお勧めできるようなものではなく、あくまでも、個人的な感情のどこかに過剰に触れてしまうのでしょう。

かような精神状態にさせてしまうRoger Waters、やはり私にとっては、重要なアーティストの1人であることに間違いありません。

そしてまた「Comfortably Numb 2022」という重要アイテムが増えました。
というお話。



『A revolution』

明日、10月5日、LOVE PSYCHEDELICOの8枚目のアルバム『A revolution』が発売になる。
少し前に、たまたまカーラジオでタイトル曲を聴いてから、アルバムの発売を楽しみにしているのだ。

LOVE PSYCHEDELICO – A revolution

アルバム、そして1曲目のタイトルが『A revolution』。
このタイトルを聞いただけでも、何かこのアルバムに対する思いを感じ取ることが出来る。
カーラジオで聴いた時には、歌詞をちゃんと聞き取る事は出来なかったのだけど、断片的に心に届く言葉だけで、涙が出そうになる瞬間すらあった。

今、この時代に『A revoltion』というタイトルのアルバム、そして曲を世の中に送り出す覚悟を感じるのだ。
タイトルこそ『A revoltion』ではあるけれど、声高に革命や、社会的、政治的メッセージを叫ぶわけではなく、極めて自然な形で、平和な世界、美しい世界を希求する心を伝えているように思う。

ロシアのウクライナ侵攻をはじめ、戦争というものが身近な現実として迫っている今、それは表現者の心にも大きな影を落としていると思う。そんな状況下で聴いた『A revolution』は、ただ反戦を歌うよりも深く、平和を希求する心を私に伝えてくれた。

それこそが、(暴力的な意味ではない)革命につながっていくただひとつの正しい道なのかも知れない。お花畑と言わば言え。

そして『A revolution』という言葉を聞いて、私の頭に最初に思い浮かぶのは、ビートルズの『Revolution』。
英単語の意味も分からない頃にはじめて聞いた何やらかっこいい響きを持つ英単語、それが『Revolution』という英単語との出会いだったから。

それもまた『A revolution』への期待感を高めている要因のひとつ。

思えば、LOVE PSYCHEDELICOとの出会いもまた、ビートルズだった。
時は2000年、ラジオ番組の制作会社で仕事をしていた私は、届いたばかりのたくさんの見本盤の中から、LOVE PSYCHEDELICOのデビューシングル『LADY MADONNA ~憂鬱なるスパイダー~』を発見。
LADY MADONNAといえば、ビートルズの曲。そして、(Appleのレーベルを思わせる)青リンゴがデザインされたジャケット。
めちゃくちゃビートルズを押し出してくるけど、何これ!?
とものすごく気になって、聴いてみたところ、一発ではまってしまったという経緯。

LADY MADONNA ~憂鬱なるスパイダー~

ただ、ビートルズが好きというバンドはこれまでにも多々あったけれど、彼らLOVE PSYCHEDELICOの音楽は全く別物。
これまでに聴いたことのないタイプの音楽。言葉の乗せ方や歌いまわし、言葉のチョイス、すべてが新鮮で彼ら独自の物だった。

それ以来、2007年のアルバム『Golden Grapefruit』(これもビートリーなタイトル)までは、しっかり買って聴いてきた。
それ以後は、別に興味がなくなったわけではないのだけれど、熱心に追いかける事はしなくなっていた。(申し訳ない)

そんな時を経てまた、ぐっと心を引き寄せてくれたのが、『A revolution』という(またビートリーなタイトルを持つ)アルバムだったのだ。

とりあえず、タイトル曲は、今、配信でも聴くことが出来るので、ぜひ歌詞を読みながら聴いてみて欲しい。

そうすれば、なぜ私がこれほどの期待をもってアルバムを待っているのか、分かると思う。

音にも、歌詞にも、ビートルズを感じる。でも、やはりそれは彼らLOVE PSYCHEDELICOが作り出した、彼らだけの世界。
ビートルズが蒔いた種は色々な形で世界中に花を咲かせているけれど、今、この荒れた地に、気高く美しい花が咲き誇っているという僥倖。

KKPP 覚え書き1 (開演前編)

前回のブログ投稿「小泉今日子ツアー2022 KKPP」に書ききれなかったあれこれや溢れる思いを、少しずつでも書き留めていけたらいいな、と思って、とりあえず「覚え書き1」としました。つづきが書けるかどうかは不明ですが。

ではまず、開演前から。

私が入場した時に流れていた会場SE(BGM的なの)。
調度Go-Go’sの「Vacation」が始まったところ。
これは否が応でも心高まります。
Go-Go’s大好きなのでね、最高のタイミングでの入場でした。

Go-Go’s「Vacation」

つづいて流れたのがNENAの「99 Luftballons」
これもまた当時シングル盤を買って聴いていた大好きな曲。

その後も、Duran Duran「hungry like the wolf」やCulture Club「Karma Chameleon」、The Buggles「Video Killed the Radio Star」、Blondie「Heart of Glass」などなど、思わず歌いだしたくなる80年代前半の洋楽大ヒットPOPナンバーの数々が、会場の素晴らしい音響装置で次々に再生されていきます。


変に凝った選曲ではなく、「これみんな知ってるでしょ?歌えるでしょ?」というようなストレートな選曲がまた良い。
これから始まるKKPP(Kyoko Koizumi Pop Party)への期待感が膨らんでいきます。

Madonnaは、初の大ヒットナンバー「Like a Virgin」ではなく、「Material Girl」が流れたのが、小泉さん的で、すごく良い。

Cyndi Lauperの「Girls Just Want To Have Fun」もまた小泉さん的で最高にごきげん。

Cyndi Laupe

これもしかしたら、小泉さんが選曲したのかな?
機会があったら聞いてみたい。
なんて事を考えながら、わくわく気分で開演を待つ、この時間もまた、かけがえのない素晴らしい時間でした。


余談ですが私、The Policeの初期曲「Can’t Stand Losing You」や「Roxanne」が流れたら最高に高まるなぁ、と心の片隅で思っていました。
というのは、実は私、ここ中野サンプラザホールで、1980年のThe Police初来日公演を観ているのです。
なので、同じ場所で聴けたら最高だな、と思っていたのですが、小泉さんのデビュー前なので選曲範囲外ですね。若干傾向も違うし誰もが知っている大ヒット曲というわけではないし。まあ、それは仕方ありません。

小泉今日子ツアー2022 KKPP

昨日は、中野サンプラザ、「Kyoko Koizumi 40th Anniversary 小泉今日子ツアー2022 KKPP」へ

このツアーが決まってから、関東地方での公演は全参加、ぐらいの勢いでいたのですが、残念ながらチケット争奪戦に全敗。
なんと・・・

しかし、そんな私を神は見捨てる事無く、追加公演決定!
しかも、そのツアーファイナルとなる追加公演にとんでもなく良い席を与えて下さった。

というわけで、参加してまいりました。
KKPP(KYOKO KOIZUMI POP PARTY)

小泉今日子ツアー2022 KKPP

ちょっと、書きたい事が多すぎて、何から書いてよいのか分からないし、まだ興奮状態が冷めていないので、支離滅裂になりそうですが・・・

とりあえず、1番気になっていたことを。
アンコールのラストにやった曲。
「東の島にブタがいた Vol.3」と言って始めたんですよ。

ファンの方は、皆ご存知かと思いますが、小泉さんが歌っていたのは、アルバム『Hippies』収録の、ちょっとコミカルな「東の島にブタがいた Vol.2」

「Vol.3」は(「Vol.2」を書いた)爆風スランプの曲。
この「Vol.3」の歌詞が、すごくて、今のロシア、ウクライナ情勢を現しているような反戦歌なのです。

「ある日島の王様、とてもいばる王様、戦争するぞ、隣の国は、なんだか生意気だ」
「俺たちゃ、戦争やりたくない 王様ひとりでやりなさい」
そんな歌詞。

このKKPPツアーが始まったのは、2月18日、神奈川。
ロシアのウクライナ侵攻前です。
この時。ツアー初日から既にこの歌を歌っていたのでしょうか?
だとしたら、すご過ぎる。
これほど強烈な選曲を、この時点でしていたという事でしょうか?
いや、もっと言えば、(2月18日の時点でロシアのきな臭い動きは既にありましたが)ツアーのリハーサルを始めたのは、もっとずっと前のはず、その時に、この選曲をしていたのでしょうか?偶然?
そんな事ある!?

と、帰りの車の中でも、それが気になって気になって仕方がありませんでした。

今朝、起きてから、ネット検索したところ、最初のうちは小泉さんの持ち歌「Vol.2」を歌っていたようですが、ロシアのウクライナ侵攻後、2月26日の広島から急遽、歌詞を「Vol.3」に差し替えた事が分かりました。

これも、本当にシンボリックな出来事だと感じます。
きっと、元々「東の島にブタがいる」という曲をアンコールラストに持ってきたのも、広島という地で「Vol.3」を歌う事に決めたのも、何か必然的な力が働いているような気がして仕方ないのです。

もっといえば、コロナ禍での 40th Anniversary 、途中からはロシアのウクライナ侵攻も始まる、という超抑鬱的な状況にある中、KKPPツアーが行われたこと。最後までメンバー、スタッフ誰ひとり新型コロナに罹患する事無くファイナルを迎えられたこと。(MCでの感染対策苦労話にジンときました)
その全てに大きな意味があると思うし、それをやりとげた小泉さん、関係者の皆様には、どれだけ感謝してもしきれない、今、そんな気持ちで、ちょっと泣きそうになりながらブログを書いています。

もっともっと書きたい事があるのですが、今はまとまりそうにないので、また改めて、書けるといいな、と思っています。

とりあえず今はここまで。

Without You -松村雄策を思う-

昨日のブログ投稿「それがどうした風が吹く」で、松村雄策さんの死に接して、松村雄策さんに対する感謝の言葉を書いたのですが、実は思った以上に心にダメージ受けているようです。

(以下敬称略で書きます)

私自身、既に61歳になるので、自分より年上の方が亡くなる事に対して多少は耐性も出来ているし、ある程度覚悟は出来ているのですが、やはり70歳はまだ早い。
もっともっと松村雄策の文章が読みたかった。というのが正直な気持ちです。

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「来るぞ、来るぞ」と言えば

昨日の投稿「感じる所は人それぞれ」の中で、ある方にとっては、「来るぞ、来るぞ」と、とてもワクワク感じている所が、私にとっては、それほどでもなかった、というような事を書きました。
あっ、音楽の話です。

今朝、ふと、そういえば、私にとって「来るぞ、来るぞ」と感じる音楽があるぞ。
と思い出し、久しぶりに聴いてみました。

それはPink Floydのアルバム『炎〜あなたがここにいてほしい』(Wish You Were Here)のオープニング曲「Shine On You Crazy Diamond (Parts I–V)」

Pink Floyd『炎〜あなたがここにいてほしい』(Wish You Were Here)
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感じる所は人それぞれ

各人、気持ち良いと感じる所は、色々あると思うのですが、それって、やっぱり人それぞれですよね。
という、至極当たり前の事を、最近改めて感じたので、ブログに書き留めておきます。

これまでも何度かこのブログで取り上げてきたNHK FMの番組「夜のプレイリスト」
少し前に、ケイ・グラントさんがパーソナリティーで、高中正義『SEYCHELLES』を取り上げました。

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Kevin Ayersの思い出 その3

(「Kevin Ayersの思い出 その1」「Kevin Ayersの思い出 その2」のつづきです)

そんなKevin Ayersファンとしての日々をのほほんと過ごしていた私に、2013年のある日、届いた報せは、Kevinさんの訃報でした。
なんだか、呆然としてしまって、正直言って、その頃の記憶があまりありません。
あとから、亡くなった日が(私の誕生日の翌日である)2月18日だと知りました。

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Kevin Ayersの思い出 その2

(「Kevin Ayersの思い出 その1」のつづきです)

2004年、酒游舘では、ライヴ後の打ち上げにも参加出来たのですが、そこではじめてKevinさんと間近に接する事が出来ました。
はじめのうちKevinさんは若干機嫌が悪く、ふて寝のような感じで、みんなに背を向けて長イスに横になっていました。
そんな姿も、Kevinさんらしくて、どういうわけか好感を持ってしまうのが不思議ですが、それが人間性というものなのでしょう。
その後、機嫌も直ったのか、参加者と写真を撮ったりなんだりという楽しい時間が流れました。
しかし、私はどうもそういうのが苦手で、写真も撮らなければ、サインも貰わないという、体たらく。強がるわけじゃありませんが、あんまりそういう事に興味ないのです。

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Kevin Ayersの思い出 その1

今日、2月18日は、Kevinさんの命日です。
Kevinさんというのは、Kevin Ayersさんの事。

この歳(昨日で61歳になりました)まで、生きていると、毎日が誰かの誕生日だったり、命日だったりするわけですが、Kevinさんの命日は、忘れた事がありません。
自分の誕生日の次の日だから。

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