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PINK FLOYD そして Syd Barrett

私を形成しているもの

今の自分を形成する一部になっていると言えるほど印象に残る様々なものを「私を形成しているもの」としてとりあげていきます。他のSNSなどに投稿したものを加筆修正して再掲載しているものもあります。
※この下に書かれた年号は作品の発表年ではなく私がその作品に初めて触れた(と思われる)年。またはそのイベント、出来事を経験した年。
※ただの思い出話です。


1975

PINK FLOYD – Wish You Were Here 「炎 ~あなたがここにいてほしい」(1975年発売)

中学生時代に、手にしたPINK FLOYDの2枚のアルバム。
当時の最新作『炎』
そして1stアルバム『サイケデリックの新鋭』のことを。


まずは、PINK FLOYD – 炎~あなたがここにいてほしい(Wish You Were Here)の話から。

このアルバムは、私がはじめてほぼオンタイム(日本発売時)で購入したPink Floydのアルバム。

その時私は、中学3年生。
ジャケットをシールドした濃紺のビニールを開けた時のワクワクした感覚は今でも心の中に残っています。

そして、このアルバムの発売に合わせて、NHK FM、渋谷陽一の「ヤングジョッキー」(だったと思う)で放送されたPink Floyd特集。
この番組も私にとって、とても大きな意味を持つものでした。

それは、このアルバム『炎』の特集であると同時に、Pink Floydが「あなたがここにいてほしい(Wish You Were Here)」と訴えかけた相手、Syd Barrettに焦点を当てた特集。

アルバム1曲目に収録された「狂ったダイアモンド(Shine On You Crazy Diamond)」、そして前述の「あなたがここにいてほしい」は、Pink Floyd結成時のリーダー的存在でフロントマン、精神に異常をきたしてグループを離れたSyd Barrettへあてたメッセージ。

さらには、一作前のアルバム『狂気(The Dark Side Of The Moon)』も、またSyd Barrettへのメッセージ的内容を含むアルバム、という事で、このアルバム『狂気』から「狂人は心に(Brain Damage)」

これらの曲は、訳詞(渋谷陽一が朗読)と共に紹介されました。
(他に『原子心母』から「If」も)

曲が作られたバックグラウンドや、歌詞に込められた思いがよく理解出来て、中学生にとって、とてもありがたい番組でした。

さらに、Syd Barrettのソロアルバムから「むなしい努力(No Good Trying)」「あたりまえ(It Is Obvious)」の2曲が取り上げられました。

それが私にとって初めてのSyd Barrett体験。
この2曲に、私はすっかり魅了されてしまったのです。

キラキラしてねじれたポップソング。
他には感じられない「何か」が、Syd Barrettの歌には確かにありました。

この番組を録音したカセットテープを、当時、何度聞き返した事か。


そして、少ししてから、Pink Floydの1stアルバム、Syd Barrettがリーダーシップをとった唯一のアルバム『サイケデリックの新鋭(The Piper At The Gates Of Dawn)』を購入。

(のちに『夜明けの口笛吹き』という、より原題に近い、素敵で詩的な邦題に変わりますが、私が購入した物は『サイケデリックの新鋭』帯)

PINK FLOYD – The Piper at the Gates of Dawn『サイケデリックの新鋭』(1967年発売)

これを買う以前に、レコードで持っていたのは『炎』だけでしたが、『狂気』他数枚は友人から借りて聴いていました。

しかし、この1stアルバムから流れて来た音は、それまで聴いていたPINK FLOYDとは全く違う音、全く違う世界。
中学生の私は、Syd Barrettが作る奇妙でポップでキラキラしているのにどこか牧歌的でもある世界に嵌っていったのです。

『狂気』『炎』へと繋がるSyd BarrettのいないシンフォニックなPink Floydも好きでしたが、Syd Barrettが描き出す唯一無二のポップ音楽は自分の中で大きな位置を占めていくのでした。


※私が後に結成したバンド(ユニット)不思議なバレッツは、Syd Barrettが描く音世界への憧憬からつけた名前

※私が購入したPink Floydの1stアルバム『サイケデリックの新鋭』には「エミリーはプレイガール」が収録されていました。
ところが、後に買った『ナイスペア』(1stと2ndの2枚組)には「エミリーはプレイガール」が収録されていません。なぜ!?
「エミリーはプレイガール」はシングル曲で、本来はアルバムには収録されていない曲。「サイケデリックの新鋭」にはボーナストラック的に収録されていた、というのは後に知った話。