Tag Archive : 音楽

小泉今日子「夏のタイムマシーン」

私を形成しているもの

今の自分を形成する一部になっていると言えるほど印象に残る様々なものを「私を形成しているもの」としてとりあげていきます。他のSNSなどに投稿したものを加筆修正して再掲載しているものもあります。
※この下に書かれた年号は作品の発表年ではなく私がその作品に初めて触れた(と思われる)年。またはそのイベント、出来事を経験した年。
※ただの思い出話です。

その他の私を形成しているものたち
私を形成しているもの 年譜(INDEX)


1988

小泉今日子「夏のタイムマシーン」(1988年発売)

1988年に発売された小泉今日子(以下KYON2と表記)のマキシシングル。

なんと9分43秒もある曲です。
G.F.R.「孤独の叫び」より6秒も長い!(笑)

さすがにこれは通常のシングル盤サイズではなくアナログ盤は12インチで発売されました。
CDは、今は亡き(?)短冊形のパッケージに入った8cmCD(私が持っているのはCD)

この曲が好きでたまりません。

1988年、当時、私は27歳。

今や、59歳(2020年時)、しかも男の私ですが、当時も今も変わらずに、この曲が描き出す世界に胸がキュンとしてしまいます。

ここにシェアしたのは「夜のヒットスタジオ」で披露した際の動画。
この9分43秒の曲を2週に分けて演奏、放送しました。5分を2回という異例の扱いです。
きっと歌詞を全部伝えたかったのでしょう。
(前半部分をシェア)

この時も、言葉のひとつひとつをとても大事に、丁寧に歌っているKYON2
ですが、私が最も感動したのは、この時ではなくて、1990年の24時間テレビでKYON2のコンサートを放送した時の事。

そこでのKYON2は、この曲の歌詞に対する思いを、かなりしっかりと時間をとって語ってから、歌い始めました。

心を込めて。

10分程度の長い曲を全編通して。

歌詞の内容は、大人になった自分が、16歳の自分に語りかけるという物。
若干長めに1番の歌詞を引用すると

夏のタイムマシーン 少女の私に伝えてよ
あの日探してた答えは今も出せないけど WOW… 
夏のタイムマシーン だいじょうぶだよと伝えてよ
あの日輝いてたその瞳に負けないくらい
一生懸命泣いて
一生懸命悩んで
一生懸命がんばっているから

これは、ほんの一節で、実際に歌われたのは10分近い曲にのせたとても長い歌詞。
KYON2が丁寧に言葉を紡ぎだし、その言葉のひとつひとつが心に沁みていきます。
まったく長さを感じずに、最後までしっかりとその言葉を噛み締めつつ、音楽に浸る事が出来ました。

そして、自然と情景が浮かんできました。
一度も少女だった経験のない私ですが、時の流れの中で、とまどい、迷い、懸命に生きる若い自分自身に語りかける、励ます、そういうシチュエーションを思い描く事は出来るので、途中から涙が止まりませんでした。


RCサクセション 「ステップ!」

私を形成しているもの

今の自分を形成する一部になっていると言えるほど印象に残る様々なものを「私を形成しているもの」としてとりあげていきます。他のSNSなどに投稿したものを加筆修正して再掲載しているものもあります。
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1979

RCサクセション 「ステップ!」(1979年発売)

夜中、テレビを見ていたら(たぶん11PM)突然、RCサクセションが出てきた。

しかし、それは、私が知っているRCサクセションとは全く違うロックバンドだった。

小学生の頃、友達のお兄さん(頭脳警察3を持っていた人)に聴かせてもらったRCは、ちょっと素っ頓狂な声で、どこかすっとぼけたフォークソングを歌っていたのだが・・・

その夜見たRCは、ド派手な服を着て、濃い化粧をして、激しいアクションで歌いまくるヴォーカル、その隣にはキース・リチャーズのようなアクションでギターを弾く男。

曲は「ステップ!」

一発でやられた。

それ以来、頭の中から「ステップ!」のフレーズが消えなかった。

ほどなくレコード店で「ステップ!」のシングルを購入。

テレビで観た印象とは、随分違う音だと感じたけど(後にスタジオミュージシャンの演奏だと知る)、とにかくレコードで聴くことが出来る喜びは大きく、何度も聴いた。

B面の「上を向いて歩こう」も、泣きたくなるほど好きだった。

当時、RCのレコードは、全て廃盤状態だったので、RCの音に対する飢餓状態がしばらく続く。

そんな時、1980年のお正月。

NHK FMで放送されたスタジオライヴ、これが素晴らしかった!

エアチャックしたテープは、その後何年もの間、擦り切れる程、テープが伸びてしまう程聴いた。

さらに

シングル「雨上がりの夜空に」

ライヴアルバム『Rhapsody』

と順調に音源をリリース、あれよあれよと人気大爆発状態。
もちろん出るレコードはすべて買い、都内近郊でのLIVEへも何度か足を運んだ。

しかし、忘れらないのは、あの夜、偶然観た「ステップ!」
TVの画面越しにも伝わってくるものすごい熱気!

あれを観る事が出来たのは、本当にラッキーでした。


Mick Ronson 『Slaughter on 10th Avenue』

私を形成しているもの

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2004

Mick Ronson 『Slaughter on 10th Avenue』(1974年発売)

ミック・ロンソンの初ソロ・アルバム『十番街の殺人』
このアルバムをはじめて聴いたのは、たぶん1978~79年頃。

なのに「私を形成しているもの」の年号を2004年にしたのは、このアルバムを本気で聴き込んで、本当の意味で好きになったのが、2004年だったから。

どういう事かというと、私、元々デヴィッド・ボウイが大好き、大好き過ぎるほど大好きだったので、ミック・ロンソンの事も、「ボウイの片腕」的に認識はしていました。
ソロ・アルバムもその流れで聴いていました。
内容的にもかなり好きでした。ただ、どこかボウイっぽい。
ボウイっぽいものを聴くよりも、ボウイそのものを聴きたい、そんな気持ちが強かったように思います。その頃の私は。
なにせ、デヴィッド・ボウイが大好き過ぎるほど大好きだったので。

ものすごく正直に言えば、若干軽んじていたのかも知れません、ミック・ロンソンの事を。

では、なぜ、2004年に突然「私を形成しているもの」入りを果たしたのかというと、その年に、仲間に誘われて「Mick Ronson Memorial」という(DJ & LIVE)イベントをはじめたのです。
(それ以前に、1993年にミックが亡くなり、その翌年に出た遺作的なアルバム『Heaven and Hull』を聴いていて、その頃から少しずつ自分の中でミック・ロンソンの存在は大きくなってはいました)

Mick Ronson Memorial 2004より (2004年4月29日 大塚 Back Beat)

イベントをやる以上は、もっと真剣に聴いておきたいと思って、当時CD化されていた、このアルバムをはじめ、ミック・ロンソン関連のアルバムをCDであれこれ買って、聴き込みまくりました。

本当の意味で、このアルバムの良さを実感し、心底好きになったのは、その時。
それ以後は、ミック・ロンソンの声、演奏、のみならず色々な人のインタビューで語られる人柄など、すべてが好きになっていきました。

Mick Ronson Memorial Band 2012(2012年4月29日 渋谷 La.mama)

その後、(番組WEBの制作に関わっていた)J-WAVEの音楽番組「Beat On The Road」で、1週間ぶち抜きのMick Ronson特集企画をぶち込み原稿を書かせてもらったり、なんだり。
それほどにミック・ロンソンという人の存在は自分の中で大きなものになっていきました。

「私を形成しているもの」としてアルバム『十番街の殺人』をあげましたが、作品単位の話ではなく、私を形成しているものは、ミック・ロンソンという人そのものかも知れません。

このアルバムの話をすると、全体を支配する、ちょっと暗くしっとりとしたトーンが好き。
1曲、1曲も全部好き。胸がしめつけつけられるような切ない気持ちになる箇所がいくつもあります。
あえて大好きな曲をあげると「Growing Up and I’m Fine」と「Music Is Lethal」
両方ともボウイが関わっている曲(前者は作詞作曲、後者は作詞)なので、若干ボウイ大好きバイアスかかっているかも知れません。ごめんなさい。


Jackson Browne『The Pretender』

私を形成しているもの

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1976

Jackson Browne『The Pretender』(1976年発売)

高校1年の時の同級生UT君が、発売されたばかりのこのアルバムを買って、スグに貸してくれました。
その頃の私は、主に、ハードロックやプログレの有名どころを買っていた時期。
ウエストコースト系のアーティストにはまだ興味が向いていなくて、ジャクソン・ブラウンという名前を聞いた時に、はじめ黒人と勘違いするほどに何も知らなかった。
(その勘違いはたぶんジャクソン5、ジェームス・ブラウンからの連想)

とはいえ、なんでも聴いてみたいお年頃。
ありがたく借りて録音した所、これが私の心に大ヒット、大フィット。
それからは録音したテープを、毎日のように繰り返し聴き込みました。

優しく包み込むような声、歌い方。
時に力強く何かを肯定してくれるような声、歌い方。
アコースティック基調の耳馴染みの良い音、印象に残るメロディー。
そして歌詞。
すっかりジャクソン・ブラウンの描き出す世界の虜になりました。

歌詞を読みながら聴きたくて、ほどなく自分でも日本盤のレコードを購入。
それから、今日に至るまで、50年近くの間、年に数回は、必ずターンテーブルに乗るレコード。

音色面では、特に「Linda Paloma」のハープ(?)やギター類の、美しいアコースティック楽器の音色が堪らなく好きで、新しいオーディオ装置導入時には、必ず、この曲でアコースティック系の音色をチェックするようになりました。

とはいえ、それはあくまでも音色チェックのためだけで、このアルバムは、1曲目の「The Fuse」からラストの「The Pretender」までの流れがとにかく完璧!
全曲通して聴きたくなります。

今日、この文章を書くために久しぶりにレコードを聴いたのですが、やはり全曲通して、3回も聴いてしまいました。
このレコードの帯には
「深い悲しみと絶望の淵に立たされたジャクソンが、心から歌いあげる亡き妻への鎮魂歌!」
と書いてあります。
アルバム制作中に妻が自殺するという事件があり、その悲劇を乗り越えて完成させたアルバム。
どうしても、その事を頭に置いて聴いてしまうのだけど、それを抜きにしても色々な感情(やメロディーや音色や演奏、そして言葉)が心に触れ涙が出てくるような曲が詰まっています。

このアルバムについては、曲ごとに、もう少ししっかりと触れてみたくなりました。
とりあえず「私を形成しているもの」としては、私にとって特別なアルバムです、という紹介にとどめますが、また改めて、このアルバム『The Pretender』の事、そしてJackson Browneの事を、書いてみたいと思っています。


頭脳警察『頭脳警察3』

私を形成しているもの

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1973

頭脳警察『頭脳警察3』(1972年10月発売)

これは現在の自分を形成する上において、本当に大きな大きな出来事なので、取り上げないわけにはいきません。

以前、ブログにも書いた事がある話なので、一部抜粋した上で若干の加筆修正をしたものを掲載します。

まずは、小学5年生頃からの話。

近所の友達の家には、当時うちには無かったステレオがあり、レコードがたくさんありました。
それは友達のお兄さんの物で、ほとんどが日本のフォークソング。

高田渡、古井戸、加川良などなど

当時は誰が歌っているかなんてことは気にせずに、面白そうだと思うレコードを片っ端から聴かせてもらいました。
ガキですから。

で、ガキでもおぼえやすい歌詞や曲調、ちょっとふざけた感じの歌をおぼえ、田舎道を自転車こぎながら歌っていました。

「自転車に乗って、ベルを鳴らし~♪」(高田渡/自転車にのって)

「大学ノートの裏表紙にさなえちゃんを描いたの♪」(古井戸/さなえちゃん)

「かみしばい、かみしばい、かみしばい屋のあのおやじは♪」(岩井宏/かみしばい)

なんて調子で。

そんなガキが中学生になったある日、友達がレコード棚から取り出した1枚が『頭脳警察3』

「これすげえぞ!」と。

針を落とすと激しいリズム!ギター!そして何より叩きつけられる言葉。

とにかくぶっ飛びました。

なにしろTVから流れる歌謡曲や、TVマンガの主題歌、CMソング、そして上記のフォークソング程度しか聴いた事の無いガキだったので、免疫ゼロ状態。

ステレオから流れてきた「ふざけるんじゃねえよ!」にどれだけの衝撃を受けたことか。

こんな歌詞聴いた事ない!!

「バカに愛想をつかすより ぶん殴るほうが好きさ」って!

とにかくすげえ!!

音にしても、あんな爆発的な音は聴いた事がありません。

ストーンズの「サティスファクション」も、ビートルズの「アイ・フィール・ファイン」も未だ聴いた事の無いガキですから。

いや、聴いた事があったとしても、充分衝撃的。

これが私にとっての、はじめてのロックの衝撃!

さらに「この曲もすげぇよ!」と友達が聴かせてくれたのは『前衛劇団モータープール』

何が何やらよくわからなかったけど、とにかくすげぇ!すげぇ!すげぇ!

それから自転車を漕ぎながら歌う歌はこんな具合になってしまいました。

「ブッシャーブッシャーブッシャー」

「極楽はトワイニング、地獄はモータープール」

「ぜ・ん・え・え・げー・きー・だん・モーーーターーープーーール」



グレン・グールド『モーツァルト:ピアノ・ソナタ集』

私を形成しているもの

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1993

GLENN GOULD『MOZART』(SONY RECORDS 1965~70年録音)

グレン・グールドの弾くピアノを初めてしっかり意識して聴いたのが、このモーツァルトのピアノソナタ集。

この頃、モーツァルトのピアノ・ソナタ集は、すでに何種類か持っていて、特に、自分にとってのリファレンス的CDは、初めて買ったスヴャトスラフ・リヒテルのもの。それ以後に聴いたものはどうしても、リヒテルと比べて聴いてしまうような所があった。

グールドに関しては、テレビで見た特異な演奏スタイルと、バッハ弾きとして有名ということぐらいしかまだ知らなかった頃。

そんなグールドの弾くモーツァルトはいったいどんな音なのだろうと思い、買ったのがこのCD。

1曲目のK.310 第1楽章を聴いた時には、かなりの違和感を覚えた。
これまで聴いてきたK.310といえば、わりと誰もが、思い入れたっぷりに重々しく始める印象。
それをグールドは、かなりのスピードで軽やかにどんどんと弾き進んでいってしまう。

これだけではなく、他のどの曲も、今まで聴いてきたモーツァルトとはまったく違うもの。

「トルコ行進曲」ではK.310の印象とは逆。
この曲はかろやかに、はずむように弾く人が多いのだが、グールドはといえば、かなりのスローペースで本当に1音1音に何か思いを込めるように丁寧に弾いている、という風に感じる。

とにかく、このCDを初めて聴いた時、違和感に包まれたのは事実。
しかし、このグールドの表現にただならぬものを感じて引き付けられていた事も、また事実。

それからしばらくの間、CDプレーヤーには、このCDがセットされたままになり、何度も何度も繰り返してのプレイ。
すると、その違和感がいつのまにか大きな魅力に変わり、聴く度にグールドの弾くモーツァルトに魅了されていった。

そのうちに、モーツァルトがこれらの曲を実際に演奏していた時には、実は、このように弾いていたのではないのかな?等と考えるようになった。いや、考えるというよりも、感じると言った方が正しいかも知れない。
なんの根拠もないのだけれど、そんな感じがしてくるのだ。

グールドの弾くモーツァルトは、とにかく全ての音が心に直接響いて来るように感じる。
モーツァルトもこのように演奏して多くの人の心を虜にしたのでは・・・
なんて突拍子もない事を感じていたのだ。

心に染み入る「トルコ行進曲」なんて、ちょっと他の人のピアノでは味わえない感覚。
グールドという人は、何か、特別なものを持っている。
そして、その「特別なもの」に惹かれていく私でした。



Kevin Ayers『Sweet Deceiver』

私を形成しているもの

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1979

Kevin Ayers『Sweet Deceiver』(1975年発売)

今日、2月18日は、Kevin Ayersの命日という事で、Kevinさんの1番好きなアルバムを取り上げます。

Kevinさんの事はこれまでにも、以下のように何度もブログで取り上げていて
Kevin Ayersの思い出 その1
Kevin Ayersの思い出 その2
Kevin Ayersの思い出 その3
Kevin Ayers – Unfairground
間違えいなく「私を形成しているもの」の中でも大きな存在。

このアルバムに出会ったのは、というか買ったのは、高校を卒業して、バイトもし、これまで欲しくても買えなかったレコードを割と気軽に買えるようになった頃。

その辺の事情は「Kevin Ayersの思い出 その1」に詳しく書かれているので、ここでは省きますが、とにかくやっと手に入れたKevinさんのレコード。
もちろん聴きまくりました。

このレコードに初めて針を落とした時に、1曲目「Observations」の激しいイントロを聴いた瞬間、ちょっとたじろいだのだけど、ほどなくKevinさんのヴォーカルが入ったとたんに曲調が変わり、大げさに言えば世界も一変したような、不思議な感動を味わった。Kevinさんの声、その包容力。Kevinさんの世界に包まれたような感覚。
そこでもうメロメロです。

2曲目「Guru Banana」は、イントロのクラリネット(かな?)でそのすっとぼけた世界に引き込まれていきます。Kevinさんのこういう所がたまらなく好き。歌っている内容はけっこう皮肉が効いていて辛辣なのに、音はすっとぼけた感じ。素敵。

つづく3曲目は、このアルバムで(いやもしかしたらKevinさんの曲の中で)1番好きな曲「City Waltz」
まあWaltz系の曲には、元々ちょっと弱いんだけど、各楽器の音色や醸し出すムード、そしてもちろんKevinさんの歌。声。さらには子供たちの後追いコーラス。こういうのにも弱い。本当に大好き。

2013年2月にKevinさんの訃報を知り、その少し後に、ルイス稲毛企画のLIVEに、ソロの弾き語りで出演したのだけど、その時に、ルイスと2人で、この曲を演奏しました。1番好きな曲をやりたくて。
前日に、電話でコードの確認や打ち合わせをして、あとは本番一発。

4曲目「Toujours La Voyage」は、Elton Johnのピアノが美しく印象的な、スローなバラード曲。
ちょっとダルっとした感じが支配する世界。こういうのもKevinさんならではの魅力のひとつ。
ピアノに絡むOllie Halsallのギターも素晴らしくて、みんなでKevinさんの世界観を作り上げている感じが素敵。

B面に移り、1曲目の「Sweet Deceiver」は、(Kevinさんにしては)ストレートな感じのロック・ナンバー。これがまたかっこいい!この曲も大好きで、あるイベントでこの曲をカヴァーして・・・というお話は「Kevin Ayersの思い出 その2」に詳しく書いてあります。これでルイス稲毛との縁が生まれたという話。

このアルバム好き過ぎて、1曲1曲、全部こんな感じで感想を書きたくなるけど、あまり長くなるのもなんなので、ここから後の曲もすべて素晴らしい!という事で。

ちなみにElton Johnは全部で3曲に参加していて、どれも素敵な演奏を聴かせてくれます。

なんにしろ、このアルバムは、自分にとって色々な意味でかなり重要な一枚。


※ジャケット画像はAmazonから拝借

The Batles『The Beatles/1962-1966』

私を形成しているもの

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1973

The Batles『The Beatles/1962-1966』(1973年発売)

ビートルズの音楽に衝撃を受け、はじめてしっかりと意識したのは、中学1年生の時。
(たぶん)放課後、放送室に何人かで集まり、SK君が持ってきた『The Beatles/1962-1966』を聴いた時。

その時聴いたのは、たしかA面だけだったのだけど、とにかくかっこいい!と思った。
「She Loves You」が流れた時には、小躍りしたくなるような、体が勝手に動き出すような感覚を覚えた。
さらに「抱きしめたい(I Want to Hold Your Hand)」を聴いた時の感覚が忘れられない。
胸の高鳴りと、キュっとするような切なさが同時に押し寄せてくるような不思議な感覚。

A面の中で特に深く印象に残ったのは、この「抱きしめたい」だった。

高校生になってから読んだ小林秀雄『モオツァルト』の中に「モオツァルトのかなしさは疾走する。涙は追いつけない。」という有名なフレーズが出てくるのだけど、もしかしたら、その感覚ってビートルズにも当てはまるのでは?それが「抱きしめたい」をはじめて聴いた時の感覚なのでは?と感じた事を思い出す。

このベスト盤(赤と青の2セット)が発売されたのが、1973年5月。
SK君は、まだ出たばかりの(お兄さんが買った)レコードを学校に持ってきて聴かせてくれたのだ。
「これ、すごいぞ!かっこいいぞ!」とみんなに聴かせたくてたまらなかったのだろう、と今は、その気持ちがよく分かる。

この時感じた、胸の高まりや切なさ、不思議な感覚は、心の中に熾火のようにくすぶり続け、中学2年になった時、同級生でビートルズの大ファンAH君との出会いによって、一気に燃え広がるのだった。


※ジャケット画像はAmazonから拝借

PINK FLOYD そして Syd Barrett

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1975

PINK FLOYD – Wish You Were Here 「炎 ~あなたがここにいてほしい」(1975年発売)

中学生時代に、手にしたPINK FLOYDの2枚のアルバム。
当時の最新作『炎』
そして1stアルバム『サイケデリックの新鋭』のことを。


まずは、PINK FLOYD – 炎~あなたがここにいてほしい(Wish You Were Here)の話から。

このアルバムは、私がはじめてほぼオンタイム(日本発売時)で購入したPink Floydのアルバム。

その時私は、中学3年生。
ジャケットをシールドした濃紺のビニールを開けた時のワクワクした感覚は今でも心の中に残っています。

そして、このアルバムの発売に合わせて、NHK FM、渋谷陽一の「ヤングジョッキー」(だったと思う)で放送されたPink Floyd特集。
この番組も私にとって、とても大きな意味を持つものでした。

それは、このアルバム『炎』の特集であると同時に、Pink Floydが「あなたがここにいてほしい(Wish You Were Here)」と訴えかけた相手、Syd Barrettに焦点を当てた特集。

アルバム1曲目に収録された「狂ったダイアモンド(Shine On You Crazy Diamond)」、そして前述の「あなたがここにいてほしい」は、Pink Floyd結成時のリーダー的存在でフロントマン、精神に異常をきたしてグループを離れたSyd Barrettへあてたメッセージ。

さらには、一作前のアルバム『狂気(The Dark Side Of The Moon)』も、またSyd Barrettへのメッセージ的内容を含むアルバム、という事で、このアルバム『狂気』から「狂人は心に(Brain Damage)」

これらの曲は、訳詞(渋谷陽一が朗読)と共に紹介されました。
(他に『原子心母』から「If」も)

曲が作られたバックグラウンドや、歌詞に込められた思いがよく理解出来て、中学生にとって、とてもありがたい番組でした。

さらに、Syd Barrettのソロアルバムから「むなしい努力(No Good Trying)」「あたりまえ(It Is Obvious)」の2曲が取り上げられました。

それが私にとって初めてのSyd Barrett体験。
この2曲に、私はすっかり魅了されてしまったのです。

キラキラしてねじれたポップソング。
他には感じられない「何か」が、Syd Barrettの歌には確かにありました。

この番組を録音したカセットテープを、当時、何度聞き返した事か。


そして、少ししてから、Pink Floydの1stアルバム、Syd Barrettがリーダーシップをとった唯一のアルバム『サイケデリックの新鋭(The Piper At The Gates Of Dawn)』を購入。

(のちに『夜明けの口笛吹き』という、より原題に近い、素敵で詩的な邦題に変わりますが、私が購入した物は『サイケデリックの新鋭』帯)

PINK FLOYD – The Piper at the Gates of Dawn『サイケデリックの新鋭』(1967年発売)

これを買う以前に、レコードで持っていたのは『炎』だけでしたが、『狂気』他数枚は友人から借りて聴いていました。

しかし、この1stアルバムから流れて来た音は、それまで聴いていたPINK FLOYDとは全く違う音、全く違う世界。
中学生の私は、Syd Barrettが作る奇妙でポップでキラキラしているのにどこか牧歌的でもある世界に嵌っていったのです。

『狂気』『炎』へと繋がるSyd BarrettのいないシンフォニックなPink Floydも好きでしたが、Syd Barrettが描き出す唯一無二のポップ音楽は自分の中で大きな位置を占めていくのでした。


※私が後に結成したバンド(ユニット)不思議なバレッツは、Syd Barrettが描く音世界への憧憬からつけた名前

※私が購入したPink Floydの1stアルバム『サイケデリックの新鋭』には「エミリーはプレイガール」が収録されていました。
ところが、後に買った『ナイスペア』(1stと2ndの2枚組)には「エミリーはプレイガール」が収録されていません。なぜ!?
「エミリーはプレイガール」はシングル曲で、本来はアルバムには収録されていない曲。「サイケデリックの新鋭」にはボーナストラック的に収録されていた、というのは後に知った話。


オックス 「真夏のフラメンコ」(「ロザリオは永遠に」B面)

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1969

オックス 「真夏のフラメンコ」(1969年発売「ロザリオは永遠に」B面)

TVマンガの主題歌ソノシートを聴きまくっていた幼年期から、次の段階に進んだのが1968年、小学校2年生の時。
(もしかしたら1969年のお正月)
初めて歌謡曲のシングル盤を買いました。
それも2枚!!

忘れもしない、飯能銀座通り商店街の一番奥の方、広小路交差点の近くにあったレコード屋さん。
買ったのは
黛ジュン「夕月/愛の奇蹟」
タイガース「青い鳥/ジンジン・バンバン」
黛ジュンは、とにかく「天使の誘惑」が大好きだったのだけど、その時、一番新しかったのが「夕月」だったので、うっかり買っちゃった感じ。
ちょっと演歌よりの曲だったけど、でも、これはこれで大好き。 
タイガースも、その時一番新しいのを買ったのですが、これも大好き。
どちらも聴き込んでいくうちに好き度が増していくような曲でした。
そこから歌謡曲~グループサウンズのレコードにも手を出し始めた小学2年生。

続けざまに買ったのが
オックス「スワンの涙/オックス・クライ」
これ以後、オックスのシングル盤は、出れば買う!
という小学生になりました。
と言っても、その後買ったのは2枚だけ。

「僕は燃えてる/夜明けのオックス」
「ロザリオは永遠に/真夏のフラメンコ」
ここまででした。

オックスは、当時、東京12チャンネルで、(たぶん木曜日の夜7時から)バラエティー歌謡ショー的な番組をやっていて、とてもとても楽しみに観ているような小学生でした。

でも、「ロザリオは永遠に/真夏のフラメンコ」の頃から、テレビに出る事も少なくなっていきます。

このシングルは、B面の「真夏のフラメンコ」が特に好きで、今でも、気分が良い時には、ついつい
♪オー・ビバビバ・オーレ・オレ♪と歌ってしまうレベル。
イントロからものすごく高まります。ストリングスのアレンジに絡むフラメンコ風のカスタネットがすごくかっこいい。
そして、ここぞという時に前面に出てくるフラメンコギターの響き。音色。
間奏の管楽器がまたすごくかっこ良くて、何度でも聴きたくなる曲。とにかく全体のアレンジが素晴らしいし、ハスキーな歌がまた絶妙にマッチしていて最高。
小学生の時は、特にそんな事は考えずに聴いていましたが、とにかく大好きで、何度も何度もレコード盤に針を落としていました。
子供の頃からこういうエキゾチックな音、アコースティックギターの音色が好きだったんだな、と今になって思います。

しかし、テレビであまり観られなくなると、徐々に小学生の興味は、また、別の方向へと向かっていくのでした。


(ここからの文章は初出)

それから数10年後、2016年頃の話。
PANTAさんとGSの話になりました。こんな会話。
「どるたんはその頃GSとか聴いてたの?」
「オックスが好きで、シングル盤は何枚か持ってました。」と答えたら
「おっ!!オックスか!」
と妙に嬉しそう。面白がって、色々と裏話を教えてくれました。
PANTAさんもオックスも当時ホリプロだったんですね。(知らなかった)

それから少しして、オックスのギター岡田志郎さんが主催する「大人の音楽祭」にPANTAさんが出演した際。
岡田さんに「友達でシンガーソングライターのどるたん。オックスの大ファンだったんだってさ。」と紹介してくれました。
すごく嬉しかったのですが、当時は、小学2~3年生。
オックスの歌は大好きだったけど、正直メンバー全員の名前までは知らなかったのです。
それが申し訳なくて「シングル盤、何枚か買ってました~」ぐらいの話しか出来ませんでした。

「大人の音楽祭2016」でのPANTAさん、右端が(オックスの)岡田志郎さん。
もう8年も前になるのか・・・