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ニール・セダカを(少し)聴いてみた

昨日のブログ「ローズマリー・ブルー」のつづき的内容です。

まず、若干言葉足らずだったので、補足するとニール・セダカというアーティストについては、それほど詳しく知っているわけではないのだけど、50年代後半~60年代前半辺りのヒット曲の数々は、ふつうに知っています。
というのは、幼い頃から音楽大好きのテレビっ子(死語)だったので、歌謡ショー的番組をよく観ていて、日本人の歌手が歌う洋楽カヴァーとして、ものすごく聴き馴染みがあり、後にご本人の音楽を聴いた時に、どれもが知っている曲だったという感じ。

で、その時期のニール・セダカの音楽って、ポピュラーなヒット曲、ロックン・ロールというかロカビリーというか、よくわからないけど、(私にとっては)一昔前のロック、一昔前のポップス系ヒット・ソングというイメージでした。

でも、昨日、ブログで取り上げた「ローズマリー・ブルー」や「スーパーバード」って全然雰囲気が違うんですよ。
音色からして違う。ガチャガチャしてないし「ダンドゥビドゥワ」とか言わない。

私の好きな70年代シンガー・ソング・ライターが作った曲のようなイメージなのです。

なので、こういう面があるのであれば、ニール・セダカをもう少しちゃんと聴いてみようかな、と思ったというわけ。
もちろん50年代60年代のヒット曲も良いのだけど、それだけじゃないのだという部分を知りたかった。

で、早速、Spotifyで聴いてみました。
配信の音楽は、こういう時にはとても便利。
とりあえず聴いて確かめる、という手段として。

一通り、アルバム単位で見てみたら、夥しい数のベスト盤がズラズラと出てくる。
その中に収録されているのは、「おお! キャロル」「カレンダー・ガール」「恋の片道切符」と言った、よく知られたヒット曲ばかり。
同じような選曲のベスト盤が、何枚も何枚も出てくる。
その辺も復習的に少し聴いてみた(どれも良い曲だとは思う)けど、やはり私の心に響くのは「ローズマリー・ブルー」的、70年代のニール・セダカ。

しかし!

Spotifyには、70年代のニール・セダカは「ローズマリー・ブルー」が収録された『Emergence』(1971年)と、もう1枚『Solitaire』(1972年)の2枚しか、ありませんでした。
(その後もアルバムは出しているのですが、レコード会社を移籍したようで、Spotifyにはなかった)

という事で、その2枚を、聴いてみました。

思ったのは、「ローズマリー・ブルー」が収録された『Emergence』は、ちょっと特別なアルバムなのじゃないかな、という事。
上に書いたように、シンガー・ソング・ライター的な表現をしたアルバムという印象。
1曲目の「I’m a Song, Sing Me」は、まあオープニング曲と言う事もあってか、派手なアレンジが施されたザ・ポピュラー・ソング、ザ・ショー・ビジネスという雰囲気があるのだけど、2曲目以後は、SSW的な曲多め。

ジャケットの雰囲気もSSWものっぽい。色合いとか、木の小屋の雰囲気とか。
71年と言うと、James Taylorが3枚目のアルバム『Mud Slide Slim and the Blue Horizon(マッド・スライド・スリム)』を出した年で、SSW系の音楽に注目が集まっている頃なので、なんとなくそちら寄りの線を狙ったのかな、という気もします。
そして、それは(音楽的には)成功している、と私には感じます。
このアルバムすごく気に入ってしまったので。


もう1枚、翌年に発売された『Solitare』も聴きました。

このアルバムのタイトル曲「Solitare」は、カーペンターズのカヴァーが有名で、カーペンターズ版はよく知っていたのですが、ご本人によるオリジナルを聴いたのは、初めてかも。

こちらは、聴く前からちょっとショー・ビジネス寄りなのかな、と感じてしまったのですが、聴いた印象も若干そんな感じでした。ジャケットデザインって大事。

前作の良い部分を継承している点も多くありますが、素朴感は薄れている感じ。基本ピアノやアコースティックギターは活躍しているのですが、バンドアレンジ、ストリングスアレンジが施されて、きらびやかなイメージ。

「良い部分」とか「素朴感」って、あくまでも私にとっての「良い部分」が素朴な感じというだけです。誤解なきよう。

ただ、どちらにも共通しているのは、楽曲の良さ、メロディーの美しさ。
そこに施される味付けによって、2枚のアルバムのイメージが違っているだけで、ニール・セダカ自身は全く変わっていないと感じました。

これ以後の、70年代アルバムでどう変わっていったのか、さらにその後は、という好奇心はあるけれど、サウンド的には変わっても、ニール・セダカ自身は全く変わっていないのだろうな。

2000年代のニール・セダカは少し聴いた事あって、やはり美しいメロディーを優しい素敵な声で歌っていました。

あと、もうひとつ、思い出した事があります。コロナのステイホーム時期だと思うのだけど、Facebookで、ニール・セダカが自宅でピアノを弾き語りしている動画がたまに流れてきて、気がつくと結構観ていたのですが、すごく感動した事が何度かありました。

昔の事は憶えていても、最近の事は忘れがちなお年頃。

「ローズマリー・ブルー」ニール・セダカ

今日の一曲
ニール・セダカ「ローズマリー・ブルー」

この曲は、シングル盤「スーパーバード」のB面曲。

今朝、なんとなく聴きたくなってシングル盤を引っ張り出して、ものすご~く久しぶりに聴いていた。

ニール・セダカに関しては、私が洋楽を聴きはじめるよりも前の世代の方なので、正直あまり詳しくなくて、持っているレコードもこれ一枚だけ。しかも20歳ぐらいの頃、年上の知り合いからもらったもの。

このシングル盤は、とても気に入っていて、これまで何度となく聴いてきました。
A面の「スーパーバード」も好きなのですが、B面「ローズマリー・ブルー」は、もっと好き。

ピアノの静かなイントロから始まり、一瞬女性ヴォーカルかと思うような優しい高音のヴォーカルで歌われる美しいメロディ。

今日、何度かシングル盤に針を落としたのだけど、聴いているうちに、なんとなく私の大好きなドノヴァンの「There is an Ocean」を思い浮かべてしまった。
ドノヴァンの方はアコースティック・ギターの弾き語り基調の曲だし、特に似ているわけじゃないのだけど、曲の展開や雰囲気、メロディーの美しさ、歌声の優しさ、そういう部分で共通する何かを感じたのだと思う。

A面の「スーパーバード」も、大好きな曲で、チェンバロ(?)他いくつかの楽器で奏でられるイントロの音色からして、もうツボなのです。秘孔をつかれた感じ。哀愁感あふれるメロディーラインも歌声も好き過ぎる。

って、この2曲は『アコースティック音楽嗜好』で取り上げても良かったな、とここまで書いて思った。

なんだか久しぶりにしっかりと聴いてみたら、ニール・セダカこれほど良かったか。この2曲これほど好きだったか。と再認識。

ニール・セダカ、もっとちゃんと聴いてみようかな。