『川越の建物 近代建築編』
前回のブログ「ラジオ川越 公開収録報告」の最後で少し取り上げましたが、以前からとても気になっていた書籍『川越の建物 近代建築編』を購入いたしました。
実は、近代建築大好きなのです。
いや、まあ、近代建築に限らず、神社やお寺、お城などの建築物や、古民家や蔵作りなど歴史を感じる建物全般も好き。
万博のパビリオン的な超モダン建築も好きだし、建物だけではなく高速道路や鉄道の立体交差とか、鉄塔、ダムなどにも惹かれます。
それどころか、自然の景観や樹木、草花、雲や星、動物などなど、とにかく目に入る物なんでも「美しい」と感じると、いつまでも見入ってしまう習性が私にはあります。
そんな中でも近代建築にはとても心惹かれてきました。
小学生の頃から、日比谷や銀座の辺りを歩くと古いビルヂングに見入り、なぜか郷愁のような感覚がわきあがっていました。
江戸川乱歩の諸作品や、荒俣宏の「帝都物語」に出てくる東京の描写を読むと、心の中に景色がわきあがり、やはり郷愁に近い感覚をおぼえました。
自由学園明日館など、フランク・ロイド・ライトが手がけた建築物を巡ったりもしていました。
川越は、小江戸と呼ばれ、江戸時代を思わせる街並みが有名ですが、この本に取り上げられているような近代のモダンな建物もまたたくさんあって、以前からとても気になっていました。
そんな、気になっていた建物たちが、この本には美しい図版と共に網羅されているのです。
面白いのは、それぞれの建物のメインビジュアルは、写真ではなく、アニメの背景を専門に手がけている「プロダクション アイ」の手による美しい絵なのです。
そして、川越を舞台にしたアニメなどで取り上げられている建物には、その作品名も添えられていて「聖地巡礼ガイドブック」としての機能も兼ね備えています。
年配の方の街歩きガイドとしても、若いアニメファンの聖地巡礼ガイドとしても、充分楽しめる作りになっています。
かといって、決して中途半端な物ではなく、一軒一軒の建物についてしっかりと掘り下げられた、読み物としても内容の濃い物です。写真も豊富で、過去の写真と現在の比較なども興味深い物でした。
個人的にすごくうれしかったのは、建物にほどこされたレリーフをきれいな写真でしっかりと見ることが出来た事。特に、川越アートカフェ エレバードのレリーフ。
なにやらギルドや秘密結社の紋章的なシンボルマーク、これの意味、正体を知る事が出来たのが一番のときめきでした。
満足度抜群!
仙波書房さんとは、少しお話させていただいたのですが、今後予定している出版企画も面白そうな物ばかり。
とても楽しみです。
2 Comments on "『川越の建物 近代建築編』"
本書のご紹介に感謝いたします。
出版社勤務時代に出張で全国を飛び回っていた時期があります。
ほとんど家にいない生活で、空き時間の多くを費やしていたのが、ご当地の建物巡り。
それと史跡巡り。
各地で色々な建物を見て、歴史を知り、それに関連する文学・芸術を知る。
その繋がりを川越の建物でできたら・・・
ただ、専門家による建物の見解、関連する文学の専門家などでつくられた本は専門書でしかなく、一般の人には程遠い内容。
そこで、対極にある本を読まないような方に声をかけては、本のサンプルを見てもらい、好き勝手なコメントをもらいました。
そして、おそらく本書に全く興味がない方に対し、最後に何が加わったら、この本を買いますか?
という問いに対しての回答を複数もらい、その数点を本書内で再現しています。
本を読まないような方の意見を尊重し、一般の方が読みやすい、手に取りやすい、面白いと思ってもらえるような工夫を色々と盛り込んでみました。
アニメイラスト、表紙の質感、タイトル文字、本文内の句読点と、改行位置等・・・
専門書を売り歩いていた男が、ゆるい一般書として出したのが、今回の本です。
勿論、中身が伴わないと・・・
なので、調べた内容+現地での取材と、近隣への聞き込み情報をプラスしています。
私のようなおじさん感覚だと、情報は全て詰め込んでしまおう・・・
となりがちですが、若い方の意見を尊重し、情報の制限と、頁の白さも取り入れています。
読んで足りない情報は、各個人の探求心による調べと、仙波書房 他によるリアルな場での街歩き・説明で補えれば・・・
ある意味斜陽な出版も、様々な工夫を盛り込めば、歌と楽器の重なりのように人々の心に響き、音楽のように盛り上がりもあるのでは・・・と信じ、次の企画を進めています。
古地図編では歴史と関連する文学、芸術なども一部紹介できれば、と思います。
次作以降も楽しみにお待ちください。
今後ともよろしくお願いします。
仙波書房様
コメントありがとうございます。
私も史跡めぐり、建物めぐり大好きで、その地の歴史や文学作品に思いを馳せております。そうやって出来たのが、どるしゃあのCD『異郷の詩』に収められた詩たちです。
しかし、広く大勢の方に届ける工夫が足りなかった、と、仙波書房様のコメントを読んで改めて少しばかり反省いたしました。