アコースティック音楽嗜好 ‐63‐
珠玉の小品、隠れた名曲 その32
Jane Birkin · Yosui Inoue – Canary Canary (Version Tokyo)
ジェーン・バーキンと井上陽水のデュエットによる「Canary Canary (Version Tokyo)」を取り上げます。
この曲は、ジェーン・バーキンが2004年に出したアルバム『Rendez-vous』に収められています。
といっても、今回取り上げる(Version Tokyo)は、初回盤などにボーナス・トラックとして収録されたもので、オリジナル盤には収録されていません。
「Canary Canary」自体は、オリジナル盤にも収録されていますが、(Version Tokyo)とは、かなり趣の違うアレンジになっています。
オリジナル盤収録のもの(以後オリジナルと表記)は、フレンチポップスよりの洒落た音作りがされていて、井上陽水は中盤にやっと日本語の語りで登場。後半にフランス語でデュエットという形で(比重少な目の)参加。
実は、こちらのヴァージョンもかなり好きなのですが「アコースティック音楽嗜好」的には、アコースティックギター中心のシンプルなアレンジとなっている(Version Tokyo)を取り上げたいと思いました。
イントロからして、オリジナルとは全く違う印象を受けます。
井上陽水は、1番のサビから登場、フランス語でデュエット、からの2番は日本語でメインのソロヴォーカルをとる。
かなり井上陽水色強めのヴァージョンになっています。
この辺の事情に関しては後述するとして、まずは、どちらも、とても素敵なので、ぜひ聴き比べてみてください。
まずは、こちらが 「アコースティック音楽嗜好」的にお薦めの「Canary Canary (Version Tokyo)」
そして、オリジナル盤収録の「Canary Canary」
元々この曲は、井上陽水、1982年発売のアルバム『LION & PELICAN』に収められていた「カナリア」という曲で、当時から好きな曲だったのですが、ジェーン・バーキンとのデュエットによる、2つのヴァージョンを聴いてみて、この曲に対する新しい魅力を感じると同時に、改めて曲への理解が深まったような気がしました。
ちなみに 「Canary Canary」の中盤に登場する日本語の語りは「カナリア」の冒頭の歌詞。
人々の愛を受ける為に飼われて 鳴き声と羽根の色でそれに応える
「Canary Canary (Version Tokyo)」の2番で井上陽水がソロで歌う日本語の歌詞は「カナリア」の1番と2番の後半部分を合わせたもの
盗賊は夜を祝い君に歌わせ プリンセスからの長い恋文を待つ 鳥籠はいまも部屋の隅に飾られ 入口の鍵の場所は誰も知らない
この辺も、なかなかにくいというか、井上陽水らしい面白さかと思います。
ところで、井上陽水の「カナリア」は、『LION & PELICAN』収録の物以外にも、井上陽水自身によって2度、再録されていて、1つは、1992年発売の『ガイドのいない夜』に収録、さらにもうひとつ、2002年発売の『Blue Selection』収録のもの。
この3つのヴァージョンもそれぞれに全く違うアレンジなのですが、実は、ジェーン・バーキンとのデュエット 「Canary Canary (Version Tokyo)」 のバックトラックは、 『Blue Selection』 収録の「カナリア」のトラックを使用しているのでは?と思っています。たぶんバックトラックをそのまま使って、ヴォーカルを差し替えて、若干Re-mixした形で発表したのかな、と。
個人的には、『Blue Selection』の井上陽水だけが歌った「カナリア」も好きですが、ジェーン・バーキンとのデュエットによる「Canary Canary (Version Tokyo)」 に、より魅力を感じています。
最後になりましたが、 ジェーン・バーキンのアルバム『Rendez-vous』は、色々な国のアーティストとのデュエット曲が収められています。個人的に気に入っているのは、Bryan Ferry、Paolo Conte、Caetano Veloso、とのデュエット。
この手のデュエット企画物は、コンピレーション物も多いのですが、このアルバムはすべて新録音によるものです。
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