Al Kooper 『Act Like Nothing’s Wrong』

Al Kooper 『Act Like Nothing’s Wrong』

私を形成しているもの

今の自分を形成する一部になっていると言えるほど印象に残る様々なものを「私を形成しているもの」としてとりあげていきます。他のSNSなどに投稿したものを加筆修正して再掲載しているものもあります。
※この下に書かれた年号は作品の発表年ではなく私がその作品に初めて触れた(と思われる)年。またはそのイベント、出来事を経験した年。
※ただの思い出話です。


1976

Al Kooper 『Act Like Nothing's Wrong』
Al Kooper 『Act Like Nothing’s Wrong』

Al Kooper 『Act Like Nothing’s Wrong』
邦題は『倒錯の世界』

1976年、高校1年の時にほぼ発売と同時に購入したもの。
ジャケットデザインや邦題に惹かれて、まだアル・クーパーの音楽について何も知らない状態で、はじめて聴いたアル・クーパーがこれ。

のちに、時代を遡って『スーパー・セッション』や『フィルモアの奇蹟』、ボブ・ディランとの演奏、BST、数々のソロ・アルバム、など、アル・クーパーの音楽を聴き、特に『赤心の歌』や『紐育市(お前は女さ)』などのソロ・アルバムには、大きく心を揺さぶられてきた。

けれども、そのどれよりも、心に残っているのは、はじめて聴いたアル・クーパー。
このアルバム『倒錯の世界』は、間違いなく「私を形成している」音楽のひとつと言える。

このアルバムには、いくつかカヴァー曲も入っているのですが、日本語ライナーにはその辺全く触れていない(どころか、このアルバムについて触れていない)し、内ジャケットには、曲ごとの演奏者は書いてあるものの、作者は、レコードのレーベルに小さく書かれているのみ。
なので、買った当時は、その辺あまり分からぬままに聴いていたのだけど、A面2曲目の「恋のダイアモンドリング」、この曲が、シーナー&ロケッツの1stアルバム「#1」に入っていて、驚きました。

あとから調べて、ゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズの演奏で、1965年に全米1位になった曲で、作者の1人にアル・クーパーがクレジットされている事を知りました。いわゆるセルフカヴァーですね。そういう事、ライナーに書いておいて欲しいと思ったりなんだり。

他のカヴァー曲も、原曲を知らないままに聴いてきたわけですが、調べるとR&B系の曲みたいです。
で、実は私、黒人のR&Bやソウル、ブルース等が若干苦手。(嫌いではなく積極的には聴いてこなかった)
別に人種の問題ではなくて、迫力とか?ねばっこさとか?声の太さとか?なんだかよく分からないけど音的な部分で、ちょと苦手な所があるのです。
ただ、白人がやっている黒人の音楽。
ストーンズがやっているブルース曲とか、ヴァン・モリソンなどのいわゆるブルーアイド・ソウルは大好きで、その辺、(白人がやっているから好きというわけではなく)自分でも理由は謎なのですが、とにかく、そういう傾向。

で、このアルバムも、いわゆるブルーアイド・ソウル的なフィーリングのアルバム。
それが私にはとても心地よい。

楽曲も印象的な曲が多くて、今でもだいたい全部、鼻歌で歌えるレベル。

なかでも、とにかく大好きな曲が、B面3曲目に収められた「Turn My Head Twords Home」
これは、この生涯で聴いてきた楽曲群の中でも上位に入るレベルの大好き度。

アル・クーパーの何が好きって、私はとにかく、声や歌い回しが大好き。
その声、歌い回しのゾクゾクするほどの良さが詰まっているのがこの曲。
出だしのキーボードと語りかけるような歌で、一瞬にしてゾクっと惹き込まれ、あとは、演奏の盛り上がりに心をゆだねる至福の時間。

このように、個人的に心を寄せているアルバムなのだけど、あまり評価は高くなくて、セールス的にもあまり良くなかったそうです。

アル・クーパーがのちにインタビューで「自分としてはとても自信をもっていたこのアルバムの評価が低かった事で、音楽業界でのやる気をなくして、この後、一時引退状態だった」的な事を語っていて、悲しくなりました。
と、同時に「私はちゃんと素晴らしさを分かっていたし、ものすごく高く評価していました。大好きなアルバムです。」と伝えたい、そんな気持ちになったのです。




※画像は自分のレコード

Dorutan

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