映画『青いパパイヤの香り』

映画『青いパパイヤの香り』

私を形成しているもの

今の自分を形成する一部になっていると言えるほど印象に残る様々なものを「私を形成しているもの」としてとりあげていきます。他のSNSなどに投稿したものを加筆修正して再掲載しているものもあります。
※この下に書かれた年号は作品の発表年ではなく私がその作品に初めて触れた(と思われる)年。またはそのイベント、出来事を経験した年。
※ただの思い出話です。


映画好きの方にとっては「今更この映画の話?」という感じかも知れませんが、やっと観ました。
メインヴィジュアルを初めて見た時から、とても気になっていた映画です。

南国の植物の中、上目遣いにこちらを見る少女の顔。
それだけのヴィジュアルですが、何か心に訴えかけてくるものを感じていました。

どんな映画なのか、誰が撮ったのか、観た人の感想、などなど、一切の情報を遮断したままに観る事が出来ました。

まず、心に残ったのが、画面の美しさ。
湿気を帯びた植物、その緑の美しさ、少女の額をつたう汗の輝き。
瑞々しいという言葉がこれほどぴったりとくる映像表現は、見た事がありません。
緑の濃淡、奥深さ、輝き、うっとりとして見てしまいました。

緑と茶色が特徴的に美しくやはり湿気を帯びた印象のイギリス映画とは違い、緑と地面、そして花の色や原色の衣装がコントラスト強めに輝くような印象のインド映画とも違う。
独特の湿気漂う美しい映像に惹き込まれます。

サイゴンが舞台という事で、当然、現地ベトナムで撮影されたものだとばかり思っていたのですが、フランスのセットで撮影されたものだと知り驚きました。

物語は、幼くして奉公に出された貧しい田舎の娘が、奉公先で成長していく話。

特に大きな事件や展開があるわけではなく、日々、日常が流れていく。
場面もほぼ同じ、奉公先の家での出来事。
それでも全く飽きる事無く、少女の日常を追い、楽しむ事が出来る。

貧しい出自を恨んだり儚んだりする事もなく、単調に繰り返される日々の家事を、ひとつひとつ楽しんででもいるかのような少女の心のあり方に感銘を受ける。
そしていつの間にか、「この少女に不幸が訪れないように」と、祈るような気持ちで見ている自分に気づく。

結末は書きませんが、とても後味良く、ふだんより少しだけ優しい気持ちになれる、そんな映画でした。

メインヴィジュアルの写真で見た少女。
そのインパクトに間違いはありませんでした。

全然傾向は違うけど、例えば『アメリ』なんかも、少女(というか女性)の顔写真のメインヴィジュアルを見ただけで、どんな映画か気になって、見たくなってしまう映画。

顔、表情、そしてそこから感じる心。

Dorutan


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