TOKAI BEATERS 『Circle』

TOKAI BEATERS 『Circle』

最も最近聴いたCDを紹介します。

TOKAI BEATERS 『Circle』
2020年発売の3曲入りシングルCD

イントロを聴いた瞬間からのキタコレ感!

針を落とすと(CDなので針は落としてない)少しして、フワーっと静かに広がるキーボード、エレキギター(低音部)の刻み、スライドギターの順で、これから始まる世界を予感させてくれる。
例えばBOSTON、例えばヒットを連発していた頃のELO、そんな良質な洋楽ポップロックの香りが、この短いイントロの一瞬だけでも聴き取れる。
しかし、次に入ってくるのは、実にはっきりきっぱりとした聞き取りやすい日本語のヴォーカル。
この違和感が、聴き込んでいく程に癖になる。

1曲目の「Circle」を、はじめ聴いた時に、サウンドやコーラス、メロディーから、杉真理的な物を感じた。
(杉真理の事、そんなに詳しいわけではないのだけど、大昔レンタルビデオ屋さんでバイトをしていた時に、杉真理のLD(『TERRA』という映像作品)を毎日流していたので、強く印象に残っている)
後で、ライナーを見たら、作曲とコーラスが(BOXで杉真理と一緒に活動していた)松尾清憲だった!

この曲、聴き込む程に凄みが増す。
いや曲は非常にポップなので「凄み」という字面とはかけ離れています。
「凄み」というより「スゲェ!」って表現の方が似合っているかも。
全ての音、イントロに入るピアノの単音、うすく刻まれるアコースティックギター、決して目立つわけではないけど時折おっ!とくる確かなベースライン、シンバルの真ん中辺を叩く音、エンディングに少しだけ入るタンバリン、もうとにかく全ての音!
全ての音が、そこにあるべき音。
余計な音、必要の無い音は何ひとつない。(特にギターのフレーズは全部好き!)
そんな気持ちになってくる。
ひとつひとつの楽器の音色も。
コーラスも。

はじめにBOSTONとかELOの名前を出したけど、そこはかとなく感じるビートルズ感の正体はなんだろうと考えると、それはきっとスライドギター。
ビートルズ感というよりも、ジョージ・ハリスン感ですね。
「Free as a Bird」期のジョージ感。
もしかしたら、ミュージシャンにとって「誰々っぽい」っていうのは、あまり褒め言葉になっていないかも知れないけど、私の側からは最大級の賛辞だったりします。
真似しているとかではなく、そういう物を全て自分の表現の武器にしている感覚。

いや~、スゲェ・・・

そして、これも、はじめに触れた、はっきりとした日本語のヴォーカル。
こういう洋楽ポップロック的なサウンドを日本語でやる人って、英語風ではないにしろ、滑らかな感じで歌う人が多いけど、これは文部省唱歌か!?というほどに聞き取りやすい日本語ヴォーカル。
また歌詞に「世界中に届けたい日本人の作品だ」って出てくるの。
なるほど!その通り!って思いました。

1曲目(表題曲「Circle」)の事ばかり、書いてしまったけど、他2曲も同様にとにかく見事。

3曲目の「青空」は、「マサチューセッツ」や「花のサンフランシスコ」を思わせる爽やかなメロディーに乗せて「古いパソコンの調子が悪くて、もう締切には間に合わない」と、およそ詩的では無い世界がこれまたはっきりとした日本語で歌われるのだけど、このアンバランスな感じが実に素敵。
個性ってこういう事だよね。

Dorutan

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