絵を描く人
先日、雑誌のコラムの挿絵として、久しぶりにイラストを描いた。
今日、その雑誌が届いたのだけど、やはり印刷物で見るとちょっとした感動がある。
子供の頃の私は、絵ばかり描いていて、それが(子供にしては)かなり上手だったので「おじいちゃんの生まれ変わり」などと言われていた。
私のおじいちゃん。
母方の祖父は、硫黄島で戦死したのだが、命日が(本当の所はわからないが)3月17日、私の誕生日が2月17日という事も(ただ日が同じだけなのに)関連づけて語られていた。
祖父は、戦争へ行く前は、江戸友禅の絵を描く人だったという。
そして祖母は、その江戸友禅の工房(っていうのか?)の長女。
その2人から生まれたのが私の母。
しかし、その江戸友禅の工房は、戦後廃業。
理由は知らないけど、空襲で焼けたとか、職人が戦死などでいなくなったとか、かな?と想像している。
祖母は、関東大震災の話はよくしてくれた(妹と2人、浅草の映画館にいる時に地震が発生したそうな)のだが、戦争の話はほとんどしてくれた事がない。
そんなわけで、江戸友禅の事は、心の隅にずっと在りつづけている。
本家の大伯父(祖母の兄)が死ぬ前に色々話を聞いておくべきだった。
大伯父は江戸っ子を絵に描いたような喋り方をする、短気で気風のいい人だった。
子供時代の私は、盆暮れ正月はいつも、この大伯父の家で過ごしていた。
よく怒鳴りつけられたが、それもとても感謝しているし、今でも大好きだ。
少しでも、本家の(江戸友禅の)事を知っている人がいれば話を聞いてみたいのだが。
今、私は、音楽で生きていくと決め、音楽を続けて行くうえでの明確な目標があるのだけれど、「絵」と「書」は、これからも手放さずに生きていこうと思う。