アコースティック音楽嗜好 ‐54‐

アコースティック音楽嗜好 ‐54‐

民謡、伝承曲からの影響 その4

これまでも、何度か触れていますが、民族音楽や伝承曲などの影響が感じられる音楽がとても好きです。
その中でも、ヨーロッパのもの、南米のもの等、その音色や調べに郷愁、哀愁を感じるような音楽が特に好きです。

この曲を初めて聴いたのは小学生の頃、はっきりとは覚えていないのですが、テレビ番組で女性歌手が日本語でカヴァーしていたものを聴いたような気がします。


その後、親戚の家にあったシングル盤を豪華なステレオ装置で聴きました。
その時に「この歌、日本語で聴いた事ある」と思った事は、はっきりと覚えています。
そして、その当時から、このメロディーには、たまらない懐かしさを感じていたのです。
その日、夢中でこのシングル盤を何度も聴きました。

Mary Hopkin – Those Were The Days(悲しき天使)

後に、当時、このMary HopkinをプロデュースしていたのがPaul McCartneyであるという事、この曲がロシア民謡を元にしたものであるという事(正確にはロシア民謡ではないらしい)などを知るわけですが、その時は、ただ「なんとなく懐かしい気持ちになる曲」として心に残っていたのです。

イントロから入る民族楽器の数々、楽器の名前は分からないけど、弦の音、笛の音、その音色に心が躍り、同時になぜか懐かしい気持ちがこみあげます。
そして、Mary Hopkinの優しい歌声に癒されます。
この曲を夢中で聴いた小学生の頃の自分、親戚の家のステレオ装置、西陽の入る2階の部屋の様子なども同時に心の中によみがえります。
こういう時に、記憶を呼び起こすツールとしての、音楽の力の大きさを、改めて感じてしまうのです。

ところで、この曲の出自はWikipediaに詳しく書かれているので、そちらを、参照していただくとして、「ロシア民謡」(正確には民謡ではない)と言うイメージをしっかりと感じるのは不思議な気がします。そんなにロシアの歌を知っているわけでもないのに。
例えば他にも「コンドルは飛んでいく」は南米の歌というイメージをしっかりと感じるし。
後付で知った知識以外の何かが潜んでいる気がして仕方ありません。

話がそれました。

この曲、元々は「ロシア民謡」というよりは「ロシアの歌謡曲」で
「コンスタンツィン・ポドレフスキー(Константин Николаевич Подревский、1889年〜1930年)の詩に、ボリス・フォミーン(Борис Иванович Фомин, 1900年〜1948年)がクレズマーないしはジプシー音楽の様式で曲づけした歌」(wikiより)
という事です。
Mary Hopkinが歌っているものは、その曲を元にして、イギリスで活躍した歌手、ジーン・ラスキン(アメリカ出身)が編曲して英語詞をつけたもの。

そういえば、日本のクレズマー楽団、ベツニナンモクレズマーのアルバム「ワルツ」にも収められていました。


YouTubeを検索してみると、LIVE演奏が見つかりました。

元々、クレズマールーツの曲を、アメリカ出身のシンガーソングライターが編曲、作詞したものをイギリスの歌手がカヴァーし世界的な大ヒットに、それを日本のクレズマー楽団がカヴァーするというなんとも面白い現象。
ワールドワイドに一周回ってクレズマー的な。

この曲は他にも、多くの歌手がカヴァーしていますが、個人的な好みでいえば、Mary Hopkinの歌が圧倒的に好きです。
過ぎ去った日々を思う歌詞の内容を考えると、ある程度お年を召した方が、朗々と歌いあげる、またはしみじみと聴かせる方があっているのかも知れませんが、過剰な思い入れなしに、どこか淡々と歌っているようなMary Hopkinの歌声に、逆に郷愁を感じてしまうのです。

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