映画『力道山』

映画『力道山』

昭和プロレスファンを自認する私ですが、世代的に力道山は全く見ていません。
馬場、猪木以後の世代です。

この映画の事は、詳しく知らなくて見逃していたのですが、これは昭和プロレスファンとしては痛恨の見逃しでした。
ごめんなさい。

ある時期までは、プロレス、格闘技関連の雑誌、新聞などほとんど全部買っていたので、こういう映画の情報も見逃す事はなかったのでしょうが、ある日突然飽和点が訪れて、ぱったりと買わなくなってしまったのです。

さて、この映画について、どうでもいい感想をまずひとつ。
主役の役者さんが、どうにも力道山に見えない。
力道山だと思い込んでみても、たまに岡野雅行に見えてしまうのでした。

それはさておき、何も知らずに観始めて、まず驚いたのが、タイトルロール。
ハングル文字が延々と続くのです。
韓国映画だとは知りませんでした。(正しくは韓国と日本の合作映画)

そして、次に驚いたのが、相撲部屋でのシーン。
横綱の役「ブッチャーじゃん!!」
いや、ごめんなさい、アブドーラ・ザ・ブッチャーの事ではなくて、橋本真也の事。
ちょっとそれだけで、感動しそうになっている自分がいます。

しかし、それはまだまだ序の口でした。

次に驚いたのがハロルド坂田の役「ムタじゃん!!」
こちらはムタ=武藤敬司。
初めてプロレス(の練習)を見た力道山に、武藤がリング上でプロレスのムーブを見せるのだけど、キレキレですよ。ドロップキックの打点の高い事高い事。
またもや、それだけで、感動しそうになっている自分がいます。

同時に「ハロルド坂田ってこういうレスラーだったかな?」という疑問も生まれます。
その手の疑問は最後まで色々出てきますが、まあ、でも、映画の見せ方として納得しながら見ていました。

その後も、キム・イルの入門シーン、得意技を聞かれて、コーナーポスト(鉄柱)に思い切り頭をぶつけるのですが、後にこの男が大木金太郎になる事を知っているプロレス者は、みなニヤリとした事でしょう。

さらに驚いたのは、力道山のライバルというか何というか、宿命の対決をした柔道家、木村政彦(映画では井村なんとか)の役が、船木誠勝。
船木といえば、新日の若手時代から注目していて、前田戦、高田戦、ヒクソン戦、ヴォルク・ハン戦(ハンの引退試合)など観に行ったものです。(なのにパンクラスには行った事がない)

驚いたのは、そんな事だけじゃなくて、この映画、とにかくプロレスのシーンがリアル過ぎるほどにリアル。
いや、リアルっていうとちょっと違って、「当時、そんな技使ってなかったでしょ?」的な部分はリアルじゃないんだけど、リング内外の様子とか、すごくリアルだし、技や動きに関しては、実際のプロレス以上の迫力を感じるほどでした。

特に、力道山が井村(船木)をボコボコにするシーンは、ちょっと目をそむけたくなるほどの迫力。
本気で船木の心配をしてしまったほどです。

映画の感想というか、プロレスの感想に終始していますが、他にも、横綱東富士じゃなくて東浪(橋本)がプロレスに転向して戦った相手がリック・スタイナー!!だったりとプロレスファンにとっては見所いっぱいでした。もちろん迫力満点。

そんな具合に実在のレスラーや実際の出来事を元に作られている映画なのですが、遠藤幸吉(秋山準)や豊登(モハメド・ヨネ)が出てきて、吉村道明や、馬場、猪木が登場しないのは若干不自然。大人の事情なのでしょうか?
まあ、馬場役、猪木役が出来そうな役者やレスラーはいない、というのもあるだろうし、あくまでも力道山の映画なので中途半端に登場させなくて正解か。

と、最後までプロレス者的感想しか出てきませんが。

それにしても、力道山。
表の部分だけを見ていると、一時代を築いた大成功者なんだけど、その実、何度も大事なところで、ブチギレては道を誤り、結局最後もそれで死んでしまうんだよな・・・

私は、一時期、仕事で韓国に何度か行っていたのですが、ある日、通訳の人に「なんで日本人怒らないの?」って聞かれた事があります。
その時は「怒る時は怒るけど、仕事中にいちいち怒っていたら仕事が進まない。」と答えました。
実際それで、何度も仕事が滞っていたので、少し強めに答えたのですが、そういう質問をするという事は、韓国人はすぐ怒るという自覚はあるみたいです。

しかし、時と場合をわきまえて怒らないと、死にますよ。
という教訓もこの映画にはある、と若干無理矢理こじつけて終わります。

Dorutan


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