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Lou Reed『BERLIN』

今の自分を形成する一部になっていると言えるほど印象に残る様々なものを「私を形成しているもの」としてとりあげていきます。他のSNSなどに投稿したものを加筆修正して再掲載しているものもあります。
※この下に書かれた年号は作品の発表年ではなく私がその作品に初めて触れた(と思われる)年。またはそのイベント、出来事を経験した年。


1976

Lou Reed『BERLIN』
Lou Reed『BERLIN』(1973年発売)

Lou Reedのアルバムで一番初めに聴いたのがこれ。

時は、1976年。
私、高校1年生。

Lou Reedのアルバムで「1番多く聴いた物は?」と問われると『Coney Island Baby』と『Transformer』が双璧なのですが、「一番心に残るアルバムは?」と聴かれたら、それはこの『Berlin』

ではなぜ、その2枚に比べて聴く回数が少ないのかと言えば、それは「聴くのに覚悟がいる」から。

「なんとなく聴く」という事が出来ない種類の音楽なのです。
例えば、天気の良い休日の昼下がりに紅茶でも飲みながら、ちょっと音楽流しますか~
なんて時には、間違っても流せない、音楽。
友達と酒でも飲みながら音楽流しましょう、なんて時にも絶対無理。

これを聴く時は、絶対に一人で音楽に向き合う事が出来る時。
出来れば夜。

「よし聴くぞ!」と覚悟を決めて聴かねばなりません。

冒頭のうめき声みたいに加工された男の声(ホラーか!?)からの、寂しげなピアノ、唐突なHappy Birthday to you~♪

ここでもう心は不安定。

ピアノは、そのまま長めのイントロを奏で、1曲目タイトル曲「Berlin」へと。
低めの独特な声でゆっくり静かに歌われる。
伴奏はピアノのみ。

完全に心を持っていかれます。
今、聴いても同じ。

このアルバム、全体を通して、男と娼婦の物語を歌っているコンセプトアルバムなのだけど、歌詞が分からなくても、その不穏で不安定で悲しい世界が伝わってきます。

娼婦やクスリなんかとは全く無縁の高校生の心にも。(今でも無縁)

2曲目「Lady Day」では、バンドの演奏も加わり、少しロック的な音になるけど、どこか何かがこれまで聴いてきたロックとは全く別の物。

サビの
♪And I said no, no, no Oh, Lady Day♪
ここで、また心は不安定に揺れるのです。

まだ、クルト・ヴァイルもジャック・ブレルも知らない高校生の心に、この直撃はかなり応えました。

1曲、1曲書きたい事があるけど、とりあえずは、そんな衝撃の出合い。

このアルバムには美しい曲、(本当の意味で)優しい曲が多く、サウンドも(個人的に大好きな)アコースティック楽器が良い感じで響き、もしかしたら聴きやすい部類の音なのかも知れないけど、やはり覚悟が無いと聴けないな、と、今でも思います。

アコースティックギターで始まり優しく歌われるB面2曲目「The Kids」
「ああ、いいなぁ~」と油断していたらエンディングで突然聞こえる赤ちゃんの鳴き声。

初めて聴いた時にはメチャメチャ驚いた。
そして怖かった。

歌詞を理解している今では、怖さだけではなく、胸を締め付けられるような痛みもある。
しかし、そこからラストへ向けての「The Bed」「Sad song」の素晴らしさ。

歌詞は救いようが無いほどに哀しいけど、音楽はどこまでもやさしく包み込んでくれる。

このアルバムの締め括りへと向かうにふさわしいB面の流れ。

静かに流れるストリングスのフレーズに、優しく絡む低い管の音、少しの癒しと共に、ゆっくりとリットしてアルバムは終わる。

このままでいよう。

しばらく他の音は聴きたくないし、何もしたくない。

そんなアルバム。



※画像はネット上から拝借
※過去のブログ、SNS投稿からの抜粋編集です