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なんとなくシングル盤の話

中学生~高校生の頃、けっこうロック系のシングル盤を買っていた。
特に、ビートルズの物は、シングル盤にしか入っていない曲目当てで。

「Lady Madonna」のB面「The Inner Light」とか
「Let It Be」のB面「You Know My Name」とか

ビートルズでは、特にポール・マッカートニーが、シングル盤のみの曲をたくさん出していて、そういうのは一通り全部買っていたのだけど、知り合いにあげたりなんだりで、20代の頃に、ほとんど全部手放してしまった。

編集盤などで聴く事が出来るようになったのも理由のひとつだけど、シングル盤自体をあまり聴く事がなくなってしまったのだ。

1曲終わるごとに立ち上がって、次の曲をかける作業がめんどうで、その頃は、LPでじっくり聴くスタイルがしっくり来ていた。

CDの時代になると、収録時間も長くなり、さらにじっくり聴くようになったかというと、まったく逆で、流して聴くようになってしまった。
あまり集中して音楽を聴けなく(聴かなく)なってしまったように思う。

お年頃のせいか、メディアのせいか。

さらに少し時は流れ、いつの頃からか、改めてシングル盤を聴く良さに目覚めたというか、なんというか。1曲を集中して楽しむ時間が愛おしくなったのかも知れない。
と同時に、1曲ごとに盤を裏返したり、取り変えたりという作業が、さほどめんどうと感じなくなった。

それからは、1度手放してしまったビートルズ関係や、カーペンターズ、スージー・クアトロなど、ヒットした当時に買ってよく聴いていたシングル盤を中心に、またコツコツと買い集めるようになった。
いや、買い集めるというか、たまたま好きな曲のシングル盤を見つけたら買う、というゆるい感じで。

その頃は、中古のシングル盤は底値みたいな時期で、よっぽど珍しい物でなければ、100円以下。中には5枚100円、10枚100円なんて売り方をしている店もあったので、容易に買う事が出来た。

そして、今日は、そんなシングル盤の中からポール・マッカートニーのシングル盤をあれこれ聴いて過ごしていました。
という日記的な話に着地。

「アナザー・デイ」や「アイルランドに平和を」等々のように(当時)シングル盤でしか聴けなかった曲達に限らず、「ジェット」や「あの娘におせっかい」なんかもシングルで聴くとまたちょっと違った感じがして、それが妙に楽しく、次々と盤を取り換えては聴く。とても充実した時間を過ごせました。

特に「あの娘におせっかい」は、来日するかも騒動があった頃、毎日のようにラジオから流れていた曲で、思い出深い大好きな曲。LPだと頭にセリフが入っているけど、シングルだといきなりイントロから始まっていて、セリフがない。ただそれだけの事なのに、けっこう印象が変わって面白かったりなんだり。

コンプリを目指しているわけじゃないので、持っていないものもいっぱいあるんだけど、なんとなく全部欲しくなってしまった。
でも、今、アナログ盤価格高騰しているみたいだから、無理かな。

メロディ・フェア/若葉のころ

先日(11月5日)のどるしゃあGoodstock Tokyoワンマン公演では、精神的に得るものがいっぱいあったと感じています。

現在62歳の私ですが、まだまだ浮かんでくるアイディアや曲想、やりたい表現など色々あって、毎回LIVEのたびに、何かしら掴んでいる感覚があります。要するに充実した表現活動が出来ているという事、ですね。

さらに!
この前のGoodstock Tokyoでは、物質的(かつ精神的)にも得たもの、掴んだもの(というか手に入れたもの)がありました。

それが、これ!

「小さな恋のメロディ」

「小さな恋のメロディ」のシングル盤です。
A面が「メロディ・フェア」B面が「若葉のころ」。

実は、Goodstock Tokyoでは、レコードを超高級オーディオで聴く催しがあったり、中古レコード販売コーナーがあったりと、密かに(?)レコードに力を入れているのです。
(最近はあまりレコードって言わないのかな?)

何気なく、中古シングル盤の棚を見たら、これが最前面に置かれていたので、すぐに手に取り購入決定。

以前、このブログの「私を形成しているもの」というカテゴリーで、映画『小さな恋のメロディ』を取り上げました。本当に好きなんですよね。この映画、そして音楽。

その時に書きましたが、この映画のサントラ盤LPは、持っていました。もちろん、この2曲も収録されています。
さらに言えば、このシングルに収められている「メロディ・フェア」も「若葉のころ」も、手持ちのビー・ジーズのCDに入っています。

でも、このシングルを見たら買わずにはいられませんでした。
シングルで聴くのがまたいいんですよ。

LPレコードを贅沢に買えるようになった頃には、あまりシングル盤を聴かなくなり、知り合いにあげてしまったりなんだりと、手持ちのシングル盤はかなり散逸してしまったのですが、なんとなく最近、またシングル盤が好きになっています。

ほんの数分で終わってしまう贅沢な時間。
かみしめながら何度か聴きました。
心の中に染みついている音楽ですが、何かまたありがたい気持ちで。

しかし、このシングル盤の何がすごいって、ジャケット表面のどこにもビー・ジーズの表記がないのです。すごくないですか?

当時、映画のファンが、トレーシー・ハイドのファンが、マーク・レスターのファンが、買い求めていたのでしょう。演奏している人が誰かなんてことは、二の次で。

「小さな恋のメロディ」シングル盤ジャケット裏面

ジャケット裏面には、しっかりと、ザ・ビー・ジーズの表記がありますが、これビニール袋から出してひっくり返さない限り見る事が出来ません。(盤を挟むように入れてあれば、ビニール袋から出さなくても見られる)

さっきまでまた聴いていたのですが、買ったレコードの盤面、傷もなくすごくきれいで、再生しても全くノイズなし。最高のコンディションでした。

本当に良い物を売っていただきました。
ありがとう前の持ち主。
ありがとうGoodstock Tokyo。


ところで、どるたんとしゃあみんは、聴いてきた音楽、思い入れの深い音楽に、あまり共通点がないのですが、この「メロディ・フェア」は、2人それぞれに思い入れの深い音楽。

私が、このレコードを500円で購入したと知るや、しゃあみんが「私は700円で買いますよ!」と、金に物を言わせて横取りしようとした事を付け加えておきます。


レコードを聴きながら

昨日から今日にかけて、なんとなくアナログ盤を集中的に聴きまくっていました。

最近はPCの前にいる事が多いので、音楽を聴くのはデスクトップ環境で、CDをリッピングしたものを聴くか、サブスク配信のものを聴くか……はっきり言って音楽を聴くというよりも、音楽を流しているという感じです。
そんな環境でも一応しっかりと音楽に向き合おうとする事もあるのだけど、どこか集中していない自分がいます。

で、たまにPCの前を離れて、アナログ盤を聴くと、しっかりとその音楽の世界に入り込むことが出来る。それだけではなくて、流れてくる音楽と共に色々な思いが浮かんだり、余計な事を考えたり、そういう時間がとても幸せ。

回転するレコード盤や、ジャケットを眺めながら流れる音に耳を傾けるという時間は、視覚的にも、聴覚的にも満たされるし、そこにおいしい紅茶やコーヒーがあれば、味覚も嗅覚も幸せ。

そんな、なんとも贅沢な時間を過ごしていました。
安上がりなのに贅沢。

そして、そんな時、感覚的に一気に過去に引き戻されて泣きそうになった。そんな瞬間があったので、ここに書き記しておこうと思います。

それは、昨日、ビートルズ関連のレコードを次から次へと色々と聴いていた時に起きた出来事。

『MAGICAL MYSTERY TOUR』というアルバム(LPレコード)。
これは中学生の時に、はじめてレコード屋さんで自分で買ったビートルズのアルバム。
2曲目に収められた「The Fool on the Hill」
この曲は、ビートルズの中で1,2を争う程大好きな曲。
当時の(今も)自分の心境、心情に寄り添ってくれるような歌詞に落涙した事は、1度や2度ではありません。

で、そんなアルバムのそんな曲を聴きながら、高校1年生の時のある瞬間が蘇ってきたのです。

それは、自分の部屋にはじめて、コンポーネントステレオがやってきた日。
プレーヤーは、テクニクスSL-1300、アンプはパイオニアSA-8800、スピーカーは・・・みたいな感じで揃えた、まあそれなりにいい感じのオーディオセット。

真ん中のラックにアンプ、チューナー、カセットデッキが収まり、一番上には、プレーヤーが置かれ、その左右にスピーカー。
狭い部屋になんとか収まったそのステレオで当時持っていた数少ないレコードの中から、初めにかけたのが『MAGICAL MYSTERY TOUR』。
1曲目の「MAGICAL MYSTERY TOUR」が流れた時から、その迫力に「うおっ!」とのけぞるように感動していたのですが、もっと大きな感動を覚えたのが、2曲目の「The Fool on the Hill」。

狭い部屋、ステレオの真正面、近距離で床に座る。
正面にはコンポが収められたオーディオラック、その左右にスピーカー。
スピーカーの左右何もない空間(いや左にベッド、右に本棚がある空間)にまで、ピアノやギター、リコーダーの印象的な音色が広がる。
そして、真ん中のオーディオラックの場所から、ポールの歌声が聴こえてきた。

「そこ音が出る場所じゃないじゃん!?」

驚きのあまり、オーディオラックに片耳を近づけてみたりなんだり、そこにポールが実際に存在するかのような、なんとも不思議な実像を感じたのです。虚像だけど。

(余談ですが、その瞬間から、自分の中で、オーディオ装置に求める物の優先度が、音色や迫力よりも音場の再現性になったように思う)

それまでモノーラルの卓上プレーヤーでレコードを聴いていた私には、その感覚がすごく不思議かつ感動的で忘れられない瞬間、忘れらない時間だったのです。
その時の感覚が、昨日蘇ってきました。

今は、当時よりは若干広い部屋で、真ん中にちょっと大きめのTVがあり、TV下のラックにコンポが収まり、その左右にスピーカーという環境で聴いているのですが、当時と同じように床に座り近距離でのリスニング。

すると、「The Fool on the Hill」で左右に広がる楽器の音、真ん中のTVの画面の、そのまた真ん中から聴こえてくるポールの歌声。

「ああ、この感じ」

一瞬にして、高校1年生の時のあの時、あの部屋、あの音の感覚が蘇ったのです。


この人生において色々な物を手に入れたり、手放したりしてきたけれど、このレコードを手放さなかった自分に感謝。