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「本棚」

もしくは「人は見たいものしか見えない」話。

明日は、どるしゃあ今年初LIVE(Goodstock Tokyo ワンマン公演)。

セットリストをあれこれ考えていて、久しぶりに「本棚」でもやろうかな、と思ったのです。
(「本棚」の成り立ちや歌詞などは下のリンクを参照してください)
「本棚」(Live動画アップしました)のこと

そして、1つ思い出した事が。
それは、20年ほど前、当時の家には巨大な本棚(レコード棚、別の部屋に書庫、廃業したCD店からもらった巨大なCD陳列用棚など)がありました。

本棚は高さ3m以上あり、上の方の本は、梯子をつかって取るシステム。
その本棚に並ぶ本の背表紙を見ながら作った歌が「本棚」。

その部屋にある日、近所の奥様達が来ることになりました。
そして、本棚やら何やらを見ながら「うわ~すごい!!」と驚いていました。

それから数日後、お会いした近所の方から
「どるたんさんのうちって、マンガ本がすごくいっぱいあるんでしょ?」
と声をかけられました。
「Aさんから聞いたんですけど、壁一面の大きな本棚に外国の図書館みたいに梯子があって、そこにマンガ本が何千冊も並んでる。って」

いや、確かにマンガ本は何千冊も持っているのだけど、その本棚に並んでいるのはごくごく1部で、手塚治虫のごく1部、水木しげるのごく1部、あとは、萩尾望都、大島弓子、山岸凉子、竹宮恵子、内田善美など、全部で100冊程度。
その辺が、本棚の一角にちょこんとあるだけなのです。
それ以外の膨大なマンガ本は、棚には並んでいなくて、箱に入れて書庫に押し込まれていました。
「あしたのジョー」も「おそ松くん」も「ドカベン」も「サイボーグ009」も「父の魂」も「バリバリ伝説」も「1・2の三四郎」も「沈黙の艦隊」も「アリエスの乙女たち」も「いつもポケットにショパン」も「BANANA FISH」も「浮浪雲」も「同棲時代」も、何もかも。
本棚には並んでいない。

その本棚の大部分は、小説他活字本で筒井康隆全集全巻及び夥しい数の筒井康隆関係。どでかく重いポー全集全3巻、「フローラ逍遥」他美しい装丁の澁澤龍彦ハードカバー本の数々、集英社のラテンアメリカの文学、講談社ブルーバックスのコーナーなどなどなどなど、天井近くの文庫本エリアには、国枝史郎伝奇文庫全冊、春陽文庫版江戸川乱歩全冊、創元推理文庫のラヴクラフト全集、河出文庫の稲垣足穂、福武文庫の内田百閒、角川文庫の柳田國男、荒俣宏、夢野久作、新潮文庫の太宰治、三島由紀夫、谷崎潤一郎、カミュ、カフカ、そしてヴェルレーヌやコクトーの詩集シリーズなどなどなどなどなどが、ぎっしりと並んでいた。

活字本とマンガ本の比率は9:1、いや、マンガ本5%程度といったところ。
でも、そのAさんには、全部マンガ本に見えたらしい。

一角に並ぶ100冊ほどのマンガ本を見て、それ以外のすべての本もマンガ本に見えたらしい。

そんな事ってある!?

と、その時は驚いたのだけど、実は、そういう人の方が多いのかも知れない。
なんにも見えてない人、気づいていない人、本当に多いから。

車に乗っていても、目の前の歩道に自転車が来ているのに、車が途切れた瞬間に飛び出そうとするドライバー、めちゃくちゃよく見かける。車しか目に入っていない。車にだけ気をつければいいと思っている。

めちゃくちゃな事やられていても、自民党が一番ましだと思っている人とか。
ちょっと話が違うか?これは変化を嫌う人の話?現状維持が一番だと思っている人の話?
現状維持も出来てないんだけど。

話がズレました。

自分に分かる事、興味がある事以外何も見えない人っているのですね。
まあ、逆に私が何にでも興味がありすぎるのかも知れないけど。

昨年、どるしゃあのツアーで行った宇都宮のおかりやさんに並んでいる本やレコード、貼られているポスターやチラシなんか隅から隅まで見たくなってしまった、というか時間の許す限りあれこれ見まくっていたし、それは青梅のアトリエよぎでも同じ。

宇都宮 キッチンカフェおかりや
青梅 アトリエよぎ

Goodstock Tokyoのレコード棚や本棚も。
深谷シネマの本棚や掲示物も隅々まで見て来たし。



自分に分かる事、興味がある事以外何も見えない人、見ようとしない人って、やっぱりつまらない人なのよな。
リアル社会の多くの人と話が合わないのは、そういう事なのかも知れない。
まあ何十年も生きてきて、話が合わない人や価値観が違う人とは自然と付き合いがなくなったし、SNS時代になって話が合う人とつながりやすくなった結果、最近は周りには良い関係性の人、何かしら秀でている人、面白い人しかいません。


写真は最近(2022年11月頃)の隙間家具的本棚の一角

そして最後にしつこく告知、明日です!
よろしく~

2024年1月21日(日)
大岡山 Goodstock Tokyo

DORUTAN+SHARMIN : RECITAL SERIES Vol.29
(どるたん+しゃあみん ワンマン公演)

どるたん+しゃあみんワンマン公演&有料配信ライブ

12:30開場 13:00開演(配信スタート)
前売り・予約 3,000円/当日 3,500円(税込み・ドリンク別)
配信視聴チケット 3,000円
有料配信詳細・チケット購入URL
https://www.staglee.com/events/8184/

〒145-0062
東京都 大田区北千束3−20−8
スターバレーII B1F
03-6451-7396


「本棚」(Live動画アップしました)のこと

先日、11月20日、どるしゃあGoodstock Tokyoワンマン公演から、1曲、Live動画をYouTubeにアップいたしました。

アップした曲は「本棚」

どるたん+しゃあみん「本棚」

当日、本編で演奏した曲は、どるたん+しゃあみんとして活動を始めてから作った曲ばかりでしたが、1曲だけ10年ちょっと前に作った曲を演奏しました。
それがこの「本棚」

当時、バンドをやっていたのだけど、私の作る曲は、基本的に暗いし、遅いし、あまりバンド向きじゃなくて、「明るくてノリの良い曲が欲しい」というメンバーの希望があり、がんばって(無理して)作った曲。
ふだん私は、曲を作る時に、誰かの曲を意識したり、コード進行を真似したり、という事をした事がなくて、頭の中に浮かんでくるにまかせています。
結果として何かに似ている事は、あるかも知れませんが、他の曲を意識して真似しようとした事はありません。

ただこの曲だけは、ちょっと意識した物があります。
それはMott The Hoople
曲を具体的に真似したわけではないのだけど、Mott The Hoopleの「All The Way From Memphis」とか「Roll Away The Stone」とか、ああいうノリの曲を書きたいと意識して作ってみました。
あまり成功しているとは思わないけど。まあ、そういう気持ちで書いた曲。
長い活動歴の中でただ1曲だけ、何かを意識して作った曲。

それを最近、どるしゃあで取り上げるようになったのは、わけがあって、やはり、どるしゃあ曲も暗い、遅い、そして長い、そんな曲が多いので、少し気分転換できる場面を設けたかった。

あとは、この曲の歌詞。
実はけっこうどるしゃあの世界観にあっている、と初演時に感じたのです。

「明るくてノリの良い曲」というリクエストに応えて、がんばって作り出してはみたものの、歌詞までは明るくならなかったのよ。

一見(一聴)明るく聞こえるし、誰かに語りかけているような態で書いているけど、これ本当は

「本棚に囲まれた部屋から出られない男が、自分自身に語りかけている歌」

なのです。
まあ、自分の事ですけどね。
なんともどるしゃあ的でしょ?

そういう歌なので、しっかり気持ちを込めて歌えるのも、どるしゃあ的。
~「夢の浮橋」を渡り「夢の駅」に着いたら「キルヒャーの世界図鑑」を広げてごらん~
のくだりは、特に、毎回泣きそうな気持ちになります。
本の内容や、いつ、どんな気持ちで読んでいたか、とか、そういうものがたまにドッと頭(心?)の中に流れ込んできてしまう事があるのです。

歌詞を全編載せると

「本棚」

もしも今スグに遠い世界へ行きたくなったら
ぼくの本棚を旅してごらん
まばゆい光が見えるだろ? そうさあれが
『ブライト・ライト・ビッグ・シティ』の灯りさ
『中国行きのスロウ・ボート』に乗って、
『西方の音』に『耳をすませば』
『深夜特急』のレールの音と共に
『亡命旅行者は叫び呟く』

ほんの少しだけ 知らない街を歩きたいのなら
ぼくの本棚を歩いてごらん
その坂道を登った所にあるのが
『夢の木坂分岐点』さ
『コルシア書店の仲間たち』に会ったら
『見知らぬ旗』の下に集おう
『燃えつきた地図』は『花ざかりの森』へと
『微熱少年』を連れて行く

『夢の浮橋』を渡り
『夢の駅』に着いたら
『キルヒャーの世界図鑑』を広げてごらん
『争いの樹の下で』『「救い主」が殴られるまで』
『アリスの穴の中で』眺めていればいいさ

Book is Real
Book is Illusion
Book is My Life


もしも 心の闇を覗いて見たくなったら
ぼくの本棚を覗いてごらん
『赤い部屋』の中で『踊る一寸法師』が見えるかい?
『蠢く触手』が『芋虫』みたいだろ?
『押絵と旅する男』と一緒に
『海底の魔術師』に会いに行こう
『幻影の城』から『暗黒星』を見上げて
『人でなしの恋』もたまにはいいさ

Book is Real
Book is Illusion
Book is My Life


という歌詞。
当時、天井まであるような本棚に囲まれた部屋に生息していたので、その本棚に並ぶ本を眺めながら、背表紙のタイトルをランダムに取り上げて歌詞になるように並べてみたら出来上がりました。
本のタイトルは、特にジャンルや著者にこだわりなく、目に付いたもの、使えそうな言葉で選んだのだけど、3番だけは、全部、江戸川乱歩の作品名になっています。そこだけ、ちょっと特別。

Barclay James Harvest というバンドの曲で「Titles」という曲があります。
これは、The Beatlesの曲のタイトルを色々と歌詞に組み込んでいるもので、手法としてはそれと同じ。
作った時にはそれは特に意識していなかった、というか、「Titles」の事知らなかったのですが。

さて、そんな私の本棚。
当時は、出入り口以外は全部天井まで本棚みたいな部屋に暮らしていましたが、今、手元にあるのは、ごくごく1部だけ。
隙間家具みたいな縦に細長い本棚と、大きいスチール製の本棚(こちらは手前にCDが置いてあるので、奥にある本の背表紙がほとんど見えない構造)だけ。
なので、今だったらこの歌詞は絶対に書けなかった、あの頃だから書けた歌詞。

ちなみに今の隙間家具的本棚を1部お見せいたします。
写真撮影用に並べ替えたりしていないありのままの私。じゃなくて本棚。

『コルシア書店の仲間たち』(「ホントのコイズミさん」#48より)

小泉今日子のポッドキャスト番組「ホントのコイズミさん」をよく聴いています。
少し前に、友人で放送作家のチャッピー加藤がゲストに出た回があって、それが最高に面白かったので、ブログに書きたいと思いつつも、日々は流れ、その後の番組で、すごくブログに書きたいエピソードが出てきてしまったので、頭の中で新鮮なうちにそちらを先に書こうと思います。
(チャッピー加藤回の事も書きたいので、少し熟成させて、そのうち書けたら良いなぁ・・・と、こういうことを書いてしまうと書かずに終わる傾向アリ)

「ホントのコイズミさん」
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