Without You -松村雄策を思う-

Without You -松村雄策を思う-

昨日のブログ投稿「それがどうした風が吹く」で、松村雄策さんの死に接して、松村雄策さんに対する感謝の言葉を書いたのですが、実は思った以上に心にダメージ受けているようです。

(以下敬称略で書きます)

私自身、既に61歳になるので、自分より年上の方が亡くなる事に対して多少は耐性も出来ているし、ある程度覚悟は出来ているのですが、やはり70歳はまだ早い。
もっともっと松村雄策の文章が読みたかった。というのが正直な気持ちです。

これまで単行本になったものは(たぶん)全部買って読んできた。
Rockin’ Onは徐々に世代交代し、自分にとってあまり切実な内容ではなくなってしまった事もあり、買うのをやめようかと思った時期もあったけど、ある時「松村雄策が書いている限りは買う。」と心に決めて、読み続けてきた。

私以上に松村雄策の音楽や著作が大好きだった人や、松村雄策と身近に接してきた人も多いかと思います。そんな方々と比べてはいけませんが、私も、この程度には、松村雄策が好きだったのです。

(松村雄策の死を知った)一昨日の夜は、ビートルズの『Revolver』と、ドアーズの『Strange Days』『Soft Parade』を、なんとなく聴いて、なんとなく自分なりに追悼し、少しだけ泣いた。

昨日は、ブログに松村雄策の事を書いて、なんとなく落ち着いた気がして、なんとなくふつうに過ごしていた。

今日は、朝、いつものようにNHK FM「古楽の楽しみ」を聴いて、いつものように過ごしていたのだけど、なんだか突然悲しみが押し寄せてきて、さっきまでピート・ハム(Badfinger)の未発表曲、アウトテイクなどを集めた2枚のCD『7 Park Avenue』と『Golders Green』を聴いていた。

しみじみと、松村雄策を思いながら。

Badfingerで発表したテイクとかなり近いバンド演奏のものや、ピートが1人で弾き語りをしている未完成のデモ風のものなど、雑多に収められていて、音質もまちまち、かなり音の悪いものもあるのだけど、なんとなく、今聴くには、しっかりとしたBadfingerのスタジオ盤よりも、こちらの方が気分にあっているような気がしたのだ。

『7 Park Avenue』には、Badfingerの代表曲「No Matter What」のデモが、ピートのアコースティックギター弾き語りで入っている。これがたまらなく切なく、たまらなく良い。
勢いのある歌で聴かせるバンドのものとはまったく違って、裏声を交えながら優しく語りかけるような歌。たまりません。

Pete Ham『7 Park Avenue』

そして『Golders Green』には、もうひとつの代表曲「Without You」のデモが、ピートのピアノ弾き語りで収められている。

Pete Ham『Golders Green』

「Without You」は、ニルソンやマライア・キャリーのカヴァーが世界的に知られているけれど、Badfingerがオリジナル。
この『Golders Green』に収められているものは、そのさらにオリジナル、原型ともいえるもの。
サビ以外の部分は、ほとんど完成しているのだけど、あの印象的なもりあがりをみせる「I can’t live If livin’ is without you♪」のサビはまだなく、かわりにもうすこしシンプルなメロディーで「If it’s love that you need~♪」と歌われる。「Without you」という言葉はどこにも登場しない。
そしてあまり盛り上がらないままにちょっと中途半端に終わる。

そんな、まだあの名曲「Without you」に成りきれない、未成熟な、でも思いはいっぱい詰まっている、生まれたての「Without you」の欠片を聴きながら、松村雄策の不在を思うのでした。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。


*

CAPTCHA