David Bowie – TOY
2000年頃、David Bowieが『TOY』というアルバムを作っている、というニュースは、David Bowieのファンの間では知られていた。
しかし、そのアルバムはリリースされず、その後、そこに収録されるはずだった曲たちは、色々な形で耳にする機会はあったものの、Bowieが意図していたであろう、1枚のアルバムとしては聴くことがかなわないままだった。
流出音源などで聴く事は、出来たのかも知れないけれど、Bowieがリリースしないと決めたものを、そうまでして聴きたいという気持ちが、私にはありませんでした。
そんな『TOY』が、2022年、Bowieの誕生日の前日(1月7日)に『TOY – Box』という形で正式にリリース。
何気なく聴き始めた1枚目。
(これが正式にアルバムとしてリリースしたかった形だと思われる)
初期の楽曲を2000年頃のBowieが録り直したもの。
1曲目は「I Dig Everything」
聴きなれた若々しい演奏、若々しいBowieの声ではなく、成熟した演奏と成熟した歌声。
「おお~かっこいいじゃん!」ぐらいの軽い気持ちで聴いていたのだけど、3曲目の「The London Boys」で涙腺崩壊(というほどでもないけど、じんわりと涙がにじみ続ける)。
David Bowieがこの世の中にいなくなってから、既に6年。
なんとなく気持ちの整理もついているような気もしていたし、ふだんそれほど考える事もないのだけれど、たまに、こうやって不意打ちをくらったかのように悲しみ(なのかな?)が押し寄せる。
実は、David Bowieの死に対して、私は、未だにしっかりと受け止めきれていないし、ちゃんと悲しむ事も出来ていないのだ。
「The London Boys」のオリジナル版は、かわいらしい感じすらする歌なのだけれど、この『TOY』に収められている「The London Boys」は、成熟したBowieが若いBowieを慈しんでいるような、なんともいえない優しさに溢れた音、優しさに溢れた歌。
今、この2022年に聴く事が出来たBowieの新しい(?)アルバム。
きっと何か意味があるのだと思う。
しっかり向かいあってみる事にしよう。
(下の写真は昔買ったThe 1966 Pye Singlesより)
【追記】
ちょっと気になってBowieに関することを書いた過去ブログを検索してみたのだけれど
2016年の大晦日に書いたブログに、「来年の抱負は、David Bowieの死を受け止める事です(笑)」なんて書いてあった。
結局、その後も受け止めきれないまま、今日に至る。