「来るぞ、来るぞ」と言えば

「来るぞ、来るぞ」と言えば

昨日の投稿「感じる所は人それぞれ」の中で、ある方にとっては、「来るぞ、来るぞ」と、とてもワクワク感じている所が、私にとっては、それほどでもなかった、というような事を書きました。
あっ、音楽の話です。

今朝、ふと、そういえば、私にとって「来るぞ、来るぞ」と感じる音楽があるぞ。
と思い出し、久しぶりに聴いてみました。

それはPink Floydのアルバム『炎〜あなたがここにいてほしい』(Wish You Were Here)のオープニング曲「Shine On You Crazy Diamond (Parts I–V)」

Pink Floyd『炎〜あなたがここにいてほしい』(Wish You Were Here)

このアルバムは、はじめてオンタイムで(1975年14歳の時に)購入したPink Floydのアルバムで、とても思い入れがあり、それから40年以上の間、何度聴いたか分からないぐらい聴いているアルバムです。

このアルバムのオープニングがまさしく私にとっての「来るぞ、来るぞ」曲なのです。
とても静かにキーボードの低音コード、低めの音によるメロディーで始まり、思わせぶりな効果音的キーボードの音色、少しするとギターが高い方の弦による単音弾きで絡んでくる。それが4分ぐらい続くと、いよいよ1回目の「来るぞ」ポイント。
ギターが低い方の弦で単純なフレーズを繰り返す、ここで既に軽く「来た!」感があるのですが、ほどなくしてドドドドドドドドとドラムが入り、ドカンとばかりにバンドのブルージーな演奏が始まる。
ここに至ってたまらなく「来た~!」を感じます。
さらに9分ぐらいから歌が入るのですが、そこでもまた、うわ~っとたまらない気持ち(語彙力)になります。

このアルバムを聴き始めた頃(中学生時代)、渋谷陽一さんがラジオや雑誌「Rockin’ On」でよく「カタルシス」という言葉を使っていたのですが、きっとそれはこういう感覚なのだろうと、当時から思っていました。

昨日取り上げた高中正義『SEYCHELLES』とでは、「来るぞ、来るぞ」の感覚も、来た物も、あまりにも違い過ぎますが、私が心地良く感じる音楽って、こういう物なのですね。

もしかしたら、この曲、前半の数分を退屈に感じる人がいるかも知れません。
私も、思わせぶりな長いインストがつづくような曲はどちらかというと苦手なのですが、この曲に限っては、まったくそんな事がなく、むしろどんどん引き込まれるような気持ちになるのです。

午前中、このアルバムを通して聴いた後、もう少しPink Floydを聴きたい気分になり『おせっかい』(Meddle)のB面(というか「Echoes」)を聴きました。
この曲もまた、ある種、カタルシスを感じる曲。

Pink Floyd『おせっかい』(Meddle)

「Echoes」を聴き終えた後は、なんとなく『The Wall』を聴きました。
聴きながらぼんやりと考えていたのは、私の感じる部分を刺激する音楽って、いわゆる気持ちの良い音ではなくて、うまくいえないけど、ある種の、怪しさ、妖しさ、などが必要なのかも知れない。という事。それが私にとっては気持ちの良い音。気持ちの良い音楽。
それは、音楽に限らず、文学や映画にもあてはまります。

さらにPink Floydで言えば、Roger Watersの描き出す世界に、より気持ち良さ感じます。
(Syd Barrett時代は別物として)

バンド時代にはあまりメンバーそれぞれの持ち味を分けて考える事などなかったのですが、Rogerが抜けた後のPink Floydには、さほど感じる物がなくなってしまい、Rogerのソロには、私の感じる部分が多くあり、Rogerの描き出す世界、Rogerの声や音が特に好きだったのだと気づかされました。
まあ『The Wall』から『Final Cut』までの流れでなんとなく分かってはいたのですが、より鮮明に分かった次第。

私の気持ち良い部分を刺激するのは、高中正義よりPink Floyd。
RogerのいないPink FloydよりRoger Watersのソロ。
そんな感じですかね。

これあくまでも、どちらが良いとか、どちらが優れているという話ではなくて、「感じる所は人それぞれ」ですので。


ところで、話は変わりますが、この流れでなんとなく聴き始めた『The Wall』
上記のような事を考えながら、ふつうに聴き進んでいたのですが、油断していました。
「Goodbye Blue Sky」で、落涙からのほぼ号泣ですわ。
それまでは考え事をしながら聴いていたのに、ここにきて突然、歌詞がすっと飛び込んできてしまったのです。

Did you see the frightened ones?
Did you hear the falling bombs?
Did you ever wonder why we had to run for shelter,
When the promise of a brave new world,
Unfurled beneath a clear blue sky?

何の苦痛も感じずに、爆弾も銃弾も飛んでこない所で、のんきに音楽を聴いて過ごしている私ですが、日々、テレビやネットから流れてくるロシアのウクライナ侵攻に、心はかなりやられているようです。

#ロシアのウクライナ侵攻に反対します

Dorutan


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