「好き」の熱量 映画『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』を観て(その1)
昨日、井上淳一脚本、監督作品『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』のマスコミ試写会へ行ってきた。
井上監督とは、個人的なつきあいもあるのだけど、そういう事は一切抜きにして、今年観た映画の中で1番好きかも。
『止められるか、俺たちを2』とあるように、『止められるか、俺たちを』(井上淳一脚本/白石和彌監督)の続編である。
前作も好きで、3回ほど観ているのだけど、今作はさらに好き。
劇場で公開されたら、また観に行きたいと思っている。
観終わってから、なぜ、前作よりも好きなのかと考えていた。
前作は、若松プロの映画制作の現場や裏側を描いていて、色々と生々しすぎたのかな、とか。
まあ、トーンとしては、前作は暗く、今作はちょっと明るい?
こじつけて言うならば、前作がDCなら、今作はマーベル?
前作が新日なら、今作は全日?
それは監督のトーンの違い?
なんてことを、アレコレと。
そして、今朝になって、昨日買った公式BOOKを開くとスグに井上淳一監督の序文があり、そこに答えが書いてありました!
「一作目は死ぬ話だが、今度は生きる話だ。」と
一作目は志半ばで死んでいった吉積めぐみ(門脇麦)の話。今作は生き続けてきた井上淳一(杉田雷麟)の話なのだ。
そりゃあ、トーンも違いますよね。
その生き続けてきた井上淳一の何がすごいって、この人の「好き」の熱量は、半端なくすごいのだな。
それは、名古屋から東京に帰る若松監督を見送りに入場券で新幹線ホームに来たのに、そのまま新幹線に乗り込み若松監督にくっついて東京まで行ってしまうシーンによく現れている。「映画が好き。」「映画監督になりたい。」という思いだけで、こういう行動をとれる人はなかなかいないでしょう。
これを見て、思い出したのが「この人、北朝鮮にも行ってるんだよな。」という事。
どういう事かというと、1995年に、新日本プロレスが(アントニオ猪木発案で)「平和のための平壌国際体育・文化祝典」と銘打ったプロレス興行を開催しているのだけど、井上さんは、これを観戦するために北朝鮮まで行っている。
しかも、この方、新日ファンでも、猪木信者でもない!よっぽどの猪木信者でも、なかなか北朝鮮までプロレスを観に行こうとは思わないのに、なぜまた!?
理由は、吉田万里子が出場するから。
この興業には、全日本女子プロレスの試合も組まれていて、そこに(当時大ファンだった)吉田万里子が出場するから。
まあ、それだけが理由じゃないにしても、北朝鮮への興味とか何かほかの理由づけがあったとしても、「好き」の熱量大き過ぎ!
私が、はじめて井上さんと会った時、井上さんは、その頃観て大いに感動していた映画『スパイダーマン:ホームカミング』の事をものすごく熱心に話してくれたのだけど、その「好き」の熱量に圧倒された私は、それまであまり興味がなかったヒーロー物の映画を観るようになり(過去ブログ「私がMCUに嵌るまで その1」参照)、MCUという大きな沼に引きずり込まれてしまったのです。
恐るべし「好き」の熱量。
そうやって映画に対する「好き」の熱量を何年も、何十年も維持し続けてきた結果、生まれたのがこの映画『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』なのだ。
面白くないわけがない!
「好き」の熱量を維持する事は、実はけっこう大変で、それには、周りの理解や協力も絶対に必要で、それがまた実はなかなか大変で……という事は、自分事としても、とても実感できるし、映画の中にもよく描かれている。
そんな映画、好きにならずにはいられません。