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「Five Miles Out」Mike Oldfield

昨日、病院の待合にいる時に唐突に頭の中に響き渡った1曲。

マイク・オールドフィールド(Mike Oldfield)の「Five Miles Out」

これはマイク・オールドフィールドの歌物の中でも、けっこう好きな曲で、20代~30代の頃、なんとなく心の落ち着きがない時に大音量で聴く事が多かった。

頭の中に流れてくる事もたまにはあった気がする。

そんな曲が、突然病院の待合で頭の中にヘヴィロテ状態。

そして一夜明けた今日の午前中になっても気になっていた「Five Miles Out」をしっかりと聴いて、頭の中から、空中へ、天上へと解き放ちました。
またいずれ頭の中に流れる事もあるでしょう。

この曲は、アルバム『Five Miles Out』のタイトル曲。
アルバムは発売当時(1982年)UK盤で買いました。
今ここには、アナログ盤は、あまり置いていないので、それは聴く事が出来なくて、アルバム『Five Miles Out』CDも持っていないので、手持ちの2組のベスト盤からそれぞれ何度か聴きました。

(我が家の復活再生のシンボル、パセリさんと2組のCD、土にピントがあっているのはご愛敬)

両方とも日本盤なので訳詞が入っているのもありがたい。
しかも、それぞれ違う方が訳しているので、それも面白かった。

『The Complete MIKE OLDFIELD』の方は、渡辺淳さん
『elements』の方は、須美久さん
が訳しています。

この曲、これまではさほど歌詞を意識していなかったのだけど、冒頭に貼り付けたMVを何度も観ていたので、大体の雰囲気はつかめているつもりでした。

嵐に巻き込まれたパイロットと管制塔との交信
嵐を脱出するまであと5マイル!

みたいなやりとり。
モジュレーション系のエフェクトをかけたマイク・オールドフィールドのパイロットからの緊急連絡
優しく語りかけるようなマギー・ライリーの歌は、管制塔からの状況説明と励ましの声

訳詞を読んでみても、大筋はあっていました。

須美久さんの訳詞は、状況を的確に把握し、パイロットと管制官それぞれの言葉として正確に訳されていると感じました。緊迫感も、願いも伝わってくる。

対して、渡辺淳さんの訳は、こう言っては申し訳ないけど、中学生が英語の教科書を訳したような文章。

いきなり
「落ちていく時 どうしたらいいのだろう 失速し 30度で降下中」
って、自分に問いかけちゃってる。パイロットからの緊急連絡だという事を考えずに歌詞の文章をただ訳しただけ。

対する須美さんは同じ箇所を
「墜落する―――どうすればいい? 機首の角度は30度」
と訳しています。
状況も緊迫感も的確に伝わってくる。

渡辺さんの訳詞は、後半詩的な表現を多用してそれなりに読ませようとする工夫は分かるのだけど、そういう部分もまた、須美さんの的確な状況説明、緊迫のやり取りの方が結果として気持ちも伝わるように感じました。

って別にこんな粗探しをしたいわけではなかった。

2つの訳詞とにらめっこするように、しっかりと言葉を受け止めつつ、何度か聴いてみて、なんとなく腑に落ちたのが、病院で突然頭の中に流れてきた事の意味。

この歌詞、最後どうなったのか?そこはまったく描かれていないのです。
「あと5マイルで、脱出できる」
というエリアでの交信だけ。

何度目かの鑑賞中に、もうすっかり英語の歌詞のままで、状況が分るようになっていて

Our hope with you

以後の管制官の言葉で、ちょっと涙してしまいました。

私も同じ言葉をかけていただき、最善のコースに向かって(いると信じて)Climingしているので。



アコースティック音楽嗜好 ‐95‐

民謡、伝承曲からの影響

「Mike OldfieldとLes Penning, またはOmmadawnの時代」

Mike Oldfieldの初期三部作(Tubular Bells、Hargest Ridge、Ommadawn)の中で、「どれが一番好きか?」と問われた時に、私は『Hargest Ridge』と答える事が多いのだけど、それは、一番初めに買って聴き込んだアルバムだから、その音と共に浮かびあがる「あの頃」の空気感が加味された若干思い出補正が入った評価かも知れない。
純粋に楽曲の好き度を考えてみると、もしかしたら『Ommadawn』が一番好きかも。

その「一番好きかも」と思わせる決定的な要素があって、それはリコーダーのメロディーとその音色。
牧歌的かつ中世音楽の響きのような美しさに、とても心惹かれるのだ。

きっとMike Oldfieldも同じ思いを抱いていたようで、『Ommadawn』リリース後にリコーダーアンサンブル的な曲を数曲、シングルでリリースしている。
どれも、民謡、伝承曲のような曲調で、リコーダーがメインでギターとの合奏、曲によっては、それに打楽器、鍵盤楽器が加わった程度で演奏されたシンプルでかわいらしい愛すべき楽曲たち。

Mike Oldfield – Portsmouth

Mike Oldfield Argiers (Tradd Arr.)

『Ommadwan』はじめ、その時代のシングル曲でリコーダーを演奏していたのは、Les Penningというリコーダー奏者。
Mike Oldfieldの一時代の音に大きな貢献をした人物と言えるでしょう。

このLes Penningという人、これ以後、あまり名前を聞く事もなかったのですが、最近、なぜか目にする(耳にする)機会が増えています。

SpotifyにもLes Penning名義で、2枚のシングル(計4曲)があります。
Spotifyでは(2021)となっているけど、2枚とも1983年に発売されたもの。
この4曲、どれもがMike Oldfieldとの共演時を思わせるような曲ばかりで、Mike Oldfieldのファンが聴けば、「この演奏はもしやあの人!?」と感じる事間違いなし。

こういうものを聴くとMike OldfieldとLes Penningがお互いに良い影響を与え合っていたように感じ取れて嬉しくなります。


それとは別に最近YouTubeなどで目にするものは、Rob Reedとの共演で、Mike Oldfieldの曲をカヴァーしたものたち。
正直Rob Reedという人の事は良く知らないのですが、Mike Oldfieldフォロワーのような音楽活動をされている方かと(認識不足だったらごめんなさい)
Mike Oldfieldの曲を演奏したくて、そこに、ご本家で演奏していたリコーダー奏者Les Penningを引っ張り出したという図式かと思われます。

Argiers : Les Penning with Rob Reed

Cuckoo Song Les Penning Rob Reed

まさか2000年代も随分経ってから、こんな形でLes Penningの演奏を聴けるとは、そして演奏する姿を見る事が出来るとは、思いませんでした。

Les Penning and Rob Reed : In Dulci Jubilo

何年か前に、これを発見した時に、驚きと感動が押し寄せてきた事を今でも鮮明に思い出せます。
Rob Reedに感謝。



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アコースティック音楽嗜好 ‐9‐

『 Mike Oldfieldからの・・・(3) 』

前項でマイク・オールドフィールドがソロデビュー前に、姉のサリー・オールドフィールドと、The Sallyangieというフォークデュオを組んでいた事を紹介しましたが、姉のSallyもまた、その後、ソロ・アーティストとしての活動を続けています。

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アコースティック音楽嗜好 ‐8‐

『 Mike Oldfieldからの・・・(2) 』

マイク・オールドフィールドは、初期3部作以後も魅力的な音源を数多く残しています。
その中でも、MTVなどでビデオがよく流されていた『Moonlight Shadow』は、目にした事(耳にした事)がある人も多いのでは?

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アコースティック音楽嗜好 ‐7‐

『 Mike Oldfieldからの・・・(1) 』

マイク・オールドフィールドの音楽は、私にとってクラシック音楽への入口というだけでなく、もうひとつ大事な側面があります。
それは、ブリティッシュ・フォークから、ケルト音楽への道筋を示してくれた事ですが、まずはその前段階として・・・

初期3部作の3枚目『オマドーン』(Ommadawan)のラストに収められた『On Horseback』

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アコースティック音楽嗜好 ‐6‐

『 クラシックへの入口(2) 』

前回、ロックからクラシックへの入口として、リック・ウェイクマン『アーサー王と円卓の騎士たち』を取り上げましたが、もうひとつ。
私が後にクラシックの交響曲や協奏曲を好きになっていく礎とでも言えるような作品があります。

それは、マイク・オールドフィールドの『チューブラー・ベルズ』(Tubular Bells)をはじめとする初期3枚のアルバム。

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