井上陽水 『陽水II センチメンタル』
私を形成しているもの
今の自分を形成する一部になっていると言えるほど印象に残る様々なものを「私を形成しているもの」としてとりあげていきます。他のSNSなどに投稿したものを加筆修正して再掲載しているものもあります。
※この下に書かれた年号は作品の発表年ではなく私がその作品に初めて触れた(と思われる)年。またはそのイベント、出来事を経験した年。
※ただの思い出話です。
1975
井上陽水 『陽水II センチメンタル』(1972年発売)
井上陽水は、中2の時、I君に録音してもらって初めてちゃんと聴きました。
I君にはお兄さんがいて、家には立派なコンポーネントステレオがあり、たまに遊びに行っては、レコードを聴かせてもらったり、聴きたいレコードを録音してもらったりしていたのです。
90分のカセットテープに2枚ずつ入れてもらった、陽水の初めの4枚のアルバム。
「断絶/センチメンタル」
「氷の世界/二色の独楽」
一気に4枚のアルバムを聴く事になったので、どのアルバムが一番という事もなく「すげぇ!すげぇ!」と全部同じように聴いていました。
ただ、その中で『陽水II センチメンタル』を取り上げようと思ったのは、言葉の感覚の鋭さ、ヤバさでガツンとやられた「東へ西へ」等について触れたいと思ったから。
井上陽水、もちろん、歌声、メロディー等すごいと感じるポイントはいっぱいありますが、当時まず衝撃を受けたのは、とにかく、言葉がヤバイ(キケンな意味で)!
怖いとすら感じていました。
♪満員、いつも満員、床に倒れた老婆が笑う♪(東へ西へ)
って、ゾッとしませんか?このイメージ。
♪満開、花は満開、君はうれしさあまって気がふれる♪(東へ西へ)
って、怖くありませんか?このイメージ。
頭の中にイメージが湧きまくるんですよ。なんなら上村一夫の絵で。
いやほんと、恐ろしい・・・
他にも
♪帽子を忘れた子供が道で 直射日光にやられて死んだ♪(かんかん照り)
♪バスの中はとても寒いけれど 君の嘘や偽り程じゃない♪(夜のバス)
♪列についていけない者に またくる春があるかどうかは
誰も知らないただひたすらの 風まかせ♪(神無月にかこまれて)
などなどあげていったらキリがない、ちょっと邪悪で、斜めから斬りおろすような、下手したら後ろから斬りつけるような言葉達。(本人は斬りつけておいてニヤリと笑っている感じ)
イメージの嵐。
それが美しいメロディと、美しい音、一度聴いたら忘れられない声で、心に届くのだからたまったものではありません。
すっかりやられてしまった中学生時代の私。
邪悪じゃない歌もたくさんあるのですが(上記の歌達も邪悪というわけではない)、まさしく中2病真っ只中でしたから「気がふれる」とか、そういうイメージに弱かったのでしょう。
後の作品でも色々すごい言葉のイメージがあるけれど「娘がねじれる時」なんて、タイトルを見ただけで「え?やめて」って思いました。
※コロナ禍巣籠り中に他SNSに投稿した物を編集、転載したものです
※画像はネット上から拝借