五味康祐 『西方の音』

五味康祐 『西方の音』

私を形成しているもの

今の自分を形成する一部になっていると言えるほど印象に残る様々なものを「私を形成しているもの」としてとりあげていきます。他のSNSなどに投稿したものを加筆修正して再掲載しているものもあります。
※この下に書かれた年号は作品の発表年ではなく私がその作品に初めて触れた(と思われる)年。またはそのイベント、出来事を経験した年。
※ただの思い出話です。


1986

五味康祐 『西方の音』(1969年 新潮社)

※画像はネット上から拝借

中学生の頃、オーディオに興味を持ち、その後も、常に気になりつづけているオーディオの世界。
そしてオーディオへの興味から読んだのがこの本。
五味康祐 『西方の音』

いつ読んだのか正確な所は思い出せないのだけど、まあ25歳ぐらい1986年という事にしておきましょう。

古本で単行本を購入(箱入りのハードカヴァー版)、今は手元にないのでおぼろげな記憶に頼るしかないのだけど、かなり毒舌でベートーヴェンのピアノ協奏曲をこきおろしたりしている。
しかし、それは音楽に対する愛ゆえの毒舌。
だから、まったく嫌な気持ちにはならない。

一番、印象に残っているのは、タンノイのスピーカー、オートグラフを日本で初めて購入(個人で輸入)した話。

船便で届いたそれを見た時の大きな喜び、わくわくしながら音を出し、はじめて出た音に愕然とがっかり、しかし配線を間違えた事に気づき、ちゃんと出た音を聴いた時の喜び。
(これ記憶だけで書いているので、こういう表現じゃないし、間違えがあるかも知れません)

その大きな感情の浮き沈みに、こちらまでドキドキしながら読んだ事を鮮やかに憶えています。

そして、もうひとつ印象に残っているのは、娘さんがベーゼンドルファーのピアノを弾いていたという話。
ベーゼンドルファーというオーストリアのピアノメーカーの事は、この本を読んで初めて知り、それ以来とても気になっていました。

ある日、宮沢明子さんのモーツァルト・ピアノ・ソナタ集をCD屋さんで手にした時に、ベーゼンドルファーのピアノを使っているという事が(1つのセールスポイントとして)帯に書いてありました。

そこに興味を抱いて購入。
後に知ったのですが宮沢明子さんは有名なベーゼンドルファー使い。

さらにこの録音を担当したのが菅野沖彦氏。

オーディオ評論家としての菅野沖彦は、良く知っていたのですが、レコーディングエンジニアとしての菅野沖彦に触れるのはこれが初めて。

そのCDは愛聴盤になりましたが、その事に関しては、また別の話として。

オーディオへの興味から「西方の音」を読む→ベーゼンドルファーのピアノを知る→ベーゼンドルファーに関心を持ち、そのピアノを弾く宮沢明子のCDを購入→そのCDのエンジニアは菅野沖彦→菅野沖彦はオーディオ評論家としてかねてから良く知る存在

という感じで、オーディオを起点として、また旧知のオーディオの世界へ戻る、そんな面白い展開をもたらしてくれた本でもあります。

※コロナ禍巣籠り中に他SNSに投稿した物を編集、転載したものです

Dorutan


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