小澤征爾『ボクの音楽武者修行』
私を形成しているもの
今の自分を形成する一部になっていると言えるほど印象に残る様々なものを「私を形成しているもの」としてとりあげていきます。他のSNSなどに投稿したものを加筆修正して再掲載しているものもあります。
※この下に書かれた年号は作品の発表年ではなく私がその作品に初めて触れた(と思われる)年。またはそのイベント、出来事を経験した年。
※ただの思い出話です。
1976
※画像は自分の蔵書(ボロボロ)
今や伝説的な指揮者小澤征爾が、まだ駆け出しの指揮者だった時分に著した、若き日のヨーロッパ武者修行旅などのエッセイ。
この本は、何度も読みました。
大好きな本です。
はじめに読んだのは、高校生の頃、図書館で借りて。
後に文庫本で購入し、それからはふだんの電車移動中や入院中、海外に行く時などにもよく持ち歩いていました。
こんな事ってあるの!?というぐらいすごい話の連続。
しかも本当にあったすごい話。
小澤征爾が若い頃、ヨーロッパへと旅立ちます。
富士重工製の125ccスクーターと共に船で。
ほとんどノープランで出かけ、マルセイユからパリまでのスクーター旅、背中にはギターを背負って。
パリでたまたま知った指揮コンクール(ブザンソン国際指揮者コンクール)に出場。
そして優勝!
そこからは、あれよあれよと、シャルル・ミュンシュやバーンスタインとも邂逅。
さらにはカラヤンの弟子に!
語られるエピソード全てがあまりにもぶっ飛びすぎていて、ものすごく面白い。
しかも、ものすごい話なのに自慢話のような感触は全く感じられず、サラっと面白く読ませてくれるのは、人柄なのでしょう。
とにかく読後感が爽やか。
ずーっと後に、小澤征良(小澤征爾の娘)のエッセイ「おわらない夏」を読んだ時にも、全く同じような爽やかな気持ちになりました。
私は、人と自分を比べて、羨んだり妬んだりしない性質なのですが、これには、こんな環境に生まれたら面白かっただろうなぁ~と軽い憧憬のような気持ちは覚えました。
でも、いくら環境が整っていたとしても、これが出来たのは紛れも無く「小澤征爾」だったからこそ。
※コロナ禍巣籠り中に他SNSに投稿した物を編集、転載したものです