アマリア・ロドリゲスと父のこと

アマリア・ロドリゲスと父のこと

今日はとんでもなく暑かったけど、昨日、一昨日は、雨模様で肌寒かった。
気持ちも体調も落ち気味で、なんとなくアマリア・ロドリゲスを聴きたい気分。
昨日、一昨日と長い時間、アマリア・ロドリゲスを聴いていた。

1974年に発売された名作アルバム『コン・ケ・ヴォス』
1993年にOMAGATOKIからCD化されたものを、私は持っている。

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これはCD化されてすぐに入手、すごく嵌って、聴き込んでいた。
ある日、このCDを聴いていると、(当時、同居していた)父が話しかけてきた。

「アマリア・ロドリゲスみたいだな。」と

ふだん全くといいほど会話のない父と私。
しかも父には、音楽の趣味などなく、家でレコードやCDを聴く事もない。
意外だった。

「そうだよ。好きなの?」

少し話てみると大学生の頃から、よくファドやシャンソンを聴かせる店に行っていたらしい。
「暗いはしけ」がヒットしたこともあり、アマリア・ロドリゲスは、当時、かなり聴かれていたようなのだ。
父は、東京のお金持ちのボンボンなので、そういう店に出入りしていても不思議ではないのだけど、その後の人生で音楽的趣味を全く手放してしまっている事が、音楽にどっぷりはまって生きてきた私にしてみると、すごく不思議。

で、「暗いはしけ」は持ってないのか?というので、聴かせてあげた。

『コン・ケ・ヴォス』があまりにも素晴らしかったので、その後スグに、東芝EMIから出ていた4枚組CD BOXも入手していたのだ。「暗いはしけ」もしっかり入っています。代表曲ですから。

まあ、懐かしそうに聴いていたけど、特に話が広がる事もなく、ほどなく「ありがとう。」と言って部屋を出て行った。

父と音楽の話をしたのは、ほんの数回しかないので、どれも良く憶えていて、その中でも、アマリア・ロドリゲスは、特に印象に残っている。
アマリア・ロドリゲスを聴く度に思い出してしまうほどに。

他、数回の音楽話も書いてみると、

「暗いはしけ」に味をしめたのか、少ししてから「「マック・ザ・ナイフ」は持ってないか?」と話しかけられた。

STINGがカヴァーしたやつなら、『クルト・ワイルの世界~星空に迷い込んだ男』というオムニバスCDに入っているのだけど、父が聴きたいのは絶対にそれじゃないので「誰の?」と聞くと「シナトラかな」と言う。

残念ながら持っていない。
今ならサブスクでサッと探して聴かせてあげたかも知れないけど、あっさりと「持ってない。」で、話は終わり。

もうひとつは、ずっと時を遡って、映画『愛と哀しみのボレロ』公開時に、この映画のテレビCMでよく「ボレロ」が流れていた時の事。
独り言的に「ボレロかぁ、オーケストラ聴きに行ったなぁ」などと言っている。
クラシックを聴くイメージもクラシックの演奏会に行くイメージも全くなかったので、意外過ぎてよく憶えている。「ボレロ」を知っているだけでも超意外なのにオーケストラって!
母に聞くと、クラシックの演奏会には何度か連れて行ってもらったらしい。マジか!?

クラシックの演奏会に行っていたというのは、ビックリだけれど、考えてみれば私も子供時代にかなり色々な所に連れて行ってもらっていた事を思い出し、なんとなく納得もした。

しかし、趣味が広がったり深まったりしないのが本当に不思議。
特別「好き」というわけでもなく、なんとなく聴いていただけなのだろうか?

まあ、父のような人間から見れば、私の方が不思議なのかも知れないのだが。


父と交わした音楽の話は、これだけなんだけど、書いているうちに、「映画の話」と「色々な所に連れて行ってもらった話」を思い出してしまった。

そのうち気が向いたら書いてみようかな。

Dorutan


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