Category Archive : 民謡、伝承曲からの影響

アコースティック音楽嗜好 ‐95‐

民謡、伝承曲からの影響

「Mike OldfieldとLes Penning, またはOmmadawnの時代」

Mike Oldfieldの初期三部作(Tubular Bells、Hargest Ridge、Ommadawn)の中で、「どれが一番好きか?」と問われた時に、私は『Hargest Ridge』と答える事が多いのだけど、それは、一番初めに買って聴き込んだアルバムだから、その音と共に浮かびあがる「あの頃」の空気感が加味された若干思い出補正が入った評価かも知れない。
純粋に楽曲の好き度を考えてみると、もしかしたら『Ommadawn』が一番好きかも。

その「一番好きかも」と思わせる決定的な要素があって、それはリコーダーのメロディーとその音色。
牧歌的かつ中世音楽の響きのような美しさに、とても心惹かれるのだ。

きっとMike Oldfieldも同じ思いを抱いていたようで、『Ommadawn』リリース後にリコーダーアンサンブル的な曲を数曲、シングルでリリースしている。
どれも、民謡、伝承曲のような曲調で、リコーダーがメインでギターとの合奏、曲によっては、それに打楽器、鍵盤楽器が加わった程度で演奏されたシンプルでかわいらしい愛すべき楽曲たち。

Mike Oldfield – Portsmouth

Mike Oldfield Argiers (Tradd Arr.)

『Ommadwan』はじめ、その時代のシングル曲でリコーダーを演奏していたのは、Les Penningというリコーダー奏者。
Mike Oldfieldの一時代の音に大きな貢献をした人物と言えるでしょう。

このLes Penningという人、これ以後、あまり名前を聞く事もなかったのですが、最近、なぜか目にする(耳にする)機会が増えています。

SpotifyにもLes Penning名義で、2枚のシングル(計4曲)があります。
Spotifyでは(2021)となっているけど、2枚とも1983年に発売されたもの。
この4曲、どれもがMike Oldfieldとの共演時を思わせるような曲ばかりで、Mike Oldfieldのファンが聴けば、「この演奏はもしやあの人!?」と感じる事間違いなし。

こういうものを聴くとMike OldfieldとLes Penningがお互いに良い影響を与え合っていたように感じ取れて嬉しくなります。


それとは別に最近YouTubeなどで目にするものは、Rob Reedとの共演で、Mike Oldfieldの曲をカヴァーしたものたち。
正直Rob Reedという人の事は良く知らないのですが、Mike Oldfieldフォロワーのような音楽活動をされている方かと(認識不足だったらごめんなさい)
Mike Oldfieldの曲を演奏したくて、そこに、ご本家で演奏していたリコーダー奏者Les Penningを引っ張り出したという図式かと思われます。

Argiers : Les Penning with Rob Reed

Cuckoo Song Les Penning Rob Reed

まさか2000年代も随分経ってから、こんな形でLes Penningの演奏を聴けるとは、そして演奏する姿を見る事が出来るとは、思いませんでした。

Les Penning and Rob Reed : In Dulci Jubilo

何年か前に、これを発見した時に、驚きと感動が押し寄せてきた事を今でも鮮明に思い出せます。
Rob Reedに感謝。



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アコースティック音楽嗜好 ‐85‐

珠玉の小品、隠れた名曲 42

The Cranberries – Never Grow Old


The Cranberriesは、1993年のアルバム『Everybody Else Is Doing It, So Why Can’t We?』でデビューしたアイルランドのバンド。
フロントの女性ヴォーカル、Dolores O’Riordan(ドロレス・オリオーダン、以下ドロレスと表記)が曲を書き、ライヴの際にもアコースティック・ギターを持って歌う曲が多い事もあり、ロックバンドのスタイルながら、かなりアコースティックなテイストが強いバンドで、デビュー時から大好きでした。

はじめの3枚のアルバムでは、ふつうにメンバー写真がアルバムカヴァーを飾っていましたが、1999年の4枚目のアルバム『Bury The Hatchet』は、(あのヒプノシスの)ストーム・トーガソンの手による超印象的なデザインのアルバム。

『Bury The Hatchet』

発売当時、すぐにCDを購入。少ししてからHMVでアナログ盤を見つけ、それも買いました。
これは大きいジャケットで欲しくなるやつ。

大好きなバンドと、大好きなデザイナーの邂逅に、当時大興奮しました。


今日「珠玉の小品」として取り上げるのは、その次のアルバム2001年発売の『Wake Up And Smell The Coffee』のオープニング曲。
このアルバムもまたストーム・トーガソンがジャケットデザインを担当。

『Wake Up And Smell The Coffee』

前述のようにアコースティックなテイストが強いバンドなので、このブログ『アコースティック音楽嗜好』でも、取り上げたい楽曲がたくさんあります。

The Cranberries – Never Grow Old

その中で、この曲「Never Grow Old」を選んだ理由のひとつは、意外性。
これアルバムの1曲目なんですよ。
オープニングに、この淡々とした小曲を持ってきた事の意味。
どうしてもそういう事を考えてしまうのです。
ふつうに考えると2曲目の「Analyse」の方が、オープニング曲的雰囲気を持っているのだけど、あえてこの「Never Grow Old」を持ってきた意味。
私のような聴き手にとって、その選曲意図は、アルバムの世界に導入する「引き」として大成功だと感じます。(が、そういう聴き手ばかりではないので、ちょっと心配でもある)

さらに、この曲を印象的な曲にしてしまった理由があって、というのは、2018年にドロレスが不慮の死を遂げた事。
それ以来、このアルバムを聴く際には、ある種の覚悟が必要になってしまいました。

1曲目がこの「Never Grow Old」ですから。
歌詞の内容も相まって、どうしてもつらい気持ちになってしまうし、淡々とした歌いっぷりが余計に悲しみの襞に沁み込んでくるのです。

まあ、そういう事を抜きにしても、この「Never Grow Old」は、私にとっての「珠玉の小品」である事に間違いはありません。






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アコースティック音楽嗜好 ‐79‐

珠玉の小品、隠れた名曲 41
民謡、伝承曲からの影響 8

Don McLean – Babylon

「American Pie」の大ヒットで知られる、アメリカのシンガーソングライター、ドン・マクリーン(Don McLean)
その「American Pie」が収められた、1971年のアルバム、その名も『American Pie』

タイトル曲「American Pie」は、バディ・ホリーの死に受けた衝撃から、のちに書き上げた歌詞でとても興味深い内容なのですが、それは今日の主題と外れるので置いておいて。
このアルバムのラストに収められた1分41秒のとても短く、静かに爪弾かれるバンジョーにのせて歌われる曲「Babylon」
途中から、教会のchoirを思わせるコーラスも入ってくる。
この曲がたまらなく好きです。

この曲のクレジットは「Traditional」
元の歌は聴いた事ないのだけど伝承曲なのでしょう。

「バビロンの水のほとりで横たわって泣いた・・・」という内容の歌詞。

バディ・ホリーの死を歌った「American Pie」で(内容に反してにぎにぎしく)始まるアルバムのラストを厳かに締めくくる曲。

この曲をラストに持ってきたのには、きっと深い意味があるのだと思う。






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アコースティック音楽嗜好 ‐58‐

民謡、伝承曲からの影響(7)

今回は、Robert Plantが2002年に出したアルバム『Dreamland』を丸っと取り上げたいと思います。

Robert Plantといえば言わずと知れたLed Zeppelinのヴォーカル。
そしてLed Zeppelinといえば、私達の世代でロックを聴いてきた人にとっては必修科目ともいえる存在。

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アコースティック音楽嗜好 ‐57‐

民謡、伝承曲からの影響(6)

今回、取り上げる曲は、Third Ear Band「Fleance」

Third Ear Bandを初めて聴いたのは、確か高校1年生の頃、当時、あまり知られていないプログレッシヴロック系のレコードを集めていた友人の家での事。
聴いたのは1stアルバムの『Alchemy』(錬金術)
その時は、正直、退屈な音楽だと思っていました。

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アコースティック音楽嗜好 ‐56‐

大好きなヒット曲(2)
民謡、伝承曲からの影響(5)

今日取り上げるのは、Nick Cave & The Bad Seeds + Kylie Minogue – Where The Wild Roses Grow

この曲がヒットした頃、私はイタリアで仕事をしていました。
イタリアでは毎日のように、この曲のミュージック・ビデオ(MV)がテレビから流れ、CD店に行けば、この曲の店頭POPがディスプレイされていて、MVが流れ、マキシシングルが並んでいました。

日本では、どうだったのでしょうか?
日本に帰ってから、この曲のMVを見たことないし、有線やラジオで聴いた事もないのです。
この曲、日本ではあまり知名度がないのでしょうか?

それはさておき、この曲ですが、まず驚かされたのは、ニック・ケイヴとカイリー・ミノーグとのデュエット曲であるという事。
カイリー・ミノーグの事はあまり詳しくはないのですが、なんとなく、明るいヒット曲を歌うような人というイメージがあったので。

それが、これですよ。

なんというか、デカダン?頽廃美?そんな雰囲気漂う、この曲、このMV。
それを見事に歌い、表現している事に、驚き、感心しました。
ニック・ケイヴの太い低音ヴォイスとの、声の相性もとても良く、お互いが引き立つ、コラボレーションの妙を感じたものです。

私は、テレビでこのMVを初めて見た時から、その映像美や音作りすべてに魅了され、この曲のマキシシングルを購入し、アパートの仕事部屋用に購入したPhilipsのミニコンポで何度も聴いたものです。
(イタリアのアパートは、日本家屋と違って響きが良いせいか、ミニコンポとは思えない包み込まれるような鳴りの良さがありました)

このMVを観てもらえば分かると思うのですが、映像のイメージが、ミレーのオフィーリアを思わせるもので、この絵にインスパイアされたであろう事は間違いないと思えます。

私は、当初、歌の内容も「オフィーリアの事を歌っているのだろうか?」と考えていたのですが、聴いていても「Opheilia」の名は出てこないし、これは何か違うような気がしてきて、当時、歌詞の断片を元にネット検索し(インターネット草創期、日本ではInternet Magazineが創刊されたかどうかという時期)英語サイトやイタリア語サイトを調べ、違う物語、伝承歌で歌われている殺人の話が元になっている事を(英語もイタリア語もよく分からないなりに)知りました。

詳しい事は、忘れてしまった(当時のノートには書いてあったのだけど紛失した)ので、今、ざっと検索したところ「Down in a Willow Garden」という歌が、もしかして元になった話しのひとつなのかな?これならArt GarfunkelとThe Chieftains版を聴いた事ある。
当時はそこまで分からなかったのですが…
ちょっと本筋から外れそうなので、この件は、後でもう少し調べてみたいと思います。

と同時に、当初このブログのカテゴリー「大好きなヒット曲」として書き始めたのですが、「民謡、伝承曲からの影響」でもあると気づき、両方のカテゴリーで掲載します。

そんなわけで、当時も今も何かと色々気になる「大好きなヒット曲」でした。

そして、YouTubeを検索した時に、なんとこの曲のライヴ動画を見つけてしまいました。
初めて見た!初めてライヴ演奏で聴いた!
驚愕!!そして感動!!



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アコースティック音楽嗜好 ‐54‐

民謡、伝承曲からの影響 その4

これまでも、何度か触れていますが、民族音楽や伝承曲などの影響が感じられる音楽がとても好きです。
その中でも、ヨーロッパのもの、南米のもの等、その音色や調べに郷愁、哀愁を感じるような音楽が特に好きです。

この曲を初めて聴いたのは小学生の頃、はっきりとは覚えていないのですが、テレビ番組で女性歌手が日本語でカヴァーしていたものを聴いたような気がします。

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アコースティック音楽嗜好 ‐29‐

民謡、伝承曲からの影響 その3

さて今日は、みんな大好き(でしょ?)イングランド民謡『グリーンスリーブス』
これ小学校の下校の放送で、毎日のように聴いていたので、聴くととても切ない気持ちになります。そういう人他にもいるでしょうか?

という事で、取り上げるのはこの人の演奏!

Jeff Beck – Greensleeves

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アコースティック音楽嗜好 ‐28‐

民謡、伝承曲からの影響 その2

これは民謡、伝承曲とはちょっと違うのだけど、バッハの曲をアレンジしたものです。
とても面白いカヴァーなので、 ちょっと枠を広げてここで取り上げてみました。

Jethro Tull – Bourée

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アコースティック音楽嗜好 ‐27‐

民謡、伝承曲からの影響 その1

元々、トラディショナルな音楽に惹かれる傾向が強くありました。
RockやFolk、Popsの世界でも、トラディショナルソングを取り上げて演奏したり、アレンジしたり、強く影響されたオリジナル曲を作ったり、そういった曲が数多くあります。

トラディショナルな音楽そのものも好きですが、一度アーティストというフィルターを通して表現されたトラディショナルな曲に、より心惹かれます。

という事で、1曲

Paul Weller – Black is the Colour

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