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『Giant Steps』を聴く日

石塚真一『BLUE GIANT EXPLORER』4巻を読んだ。
これは「世界一のジャズプレーヤー」を目指す男のお話。

3巻を読んだ時のブログからコピペ(3を4に)修正しただけの書き出しですが。

石塚真一『BLUE GIANT EXPLORER』4巻

今回は、LAでのお話、楽しませていただきました。
コミックの内容は、ともかく、これ(「BLUE GIANT」のシリーズ)を読むと無性にJAZZが聴きたくなります。
読んでいる間は、コミックの中から溢れ出す様に、頭の中に流れてくる音を邪魔されたくないので、何も聴かないのですが、読み終わると、何か聴きたくなってしまうのです。

はじめのうちは、マイルスとかモンクとか、私の持っている数少ないJAZZレコードの中から、適当に選んで聴いていたのですが、ここのところ、ジョン・コルトレーンの『GIANT STEPS』を聴くのが定番となっています。

John Coltrane / Giant Steps

やっぱり主人公の大が、サックス吹きなので、マイルス(トランペット)やモンク(ピアノ)じゃないよね、って事で、自然とこうなってきました。「GIANT」つながりでもあるし。

するとこれが、実によくはまるというか、気持ち良く聴けるというか。
う~ん「気持ち良く聴ける」っていうのはちょっと違うんだけど、しっかり心に入ってくるのが気持ち良いのかな。

正直、JAZZはそんなに聴いてこなかったし、全然詳しくないのだけれど、このレコードを聴く時って、何かある種の覚悟みたいなものが必要なのです。

今回の第4巻では、大が、LAのJAZZバーで聴いたバンド演奏に「こんなにも聴き心地が良く、耳に何も障ってこないジャズって…」となるシーンがあるのですが、そう、結局、そこ、なんですよね。

私が本当に聴きたい音楽って、単純に言ってしまえば、「魂」なのかな、と思うのです。
それは決して聴き心地が良いだけの音楽ではなく、耳に、心に障る音でもあるのです。
「心」とか「愛」とか、言い換えてもよいのですが、そういった「何か」
今も、改めて『GIANT STEPS』を聴きながら書いているのですが、胸騒ぎみたいなものを感じています。

音楽に限らず、文学でも芸術作品でもそれは同じ。
スポーツ観戦でも、同じ。
やっぱり「魂」に、心揺さぶられる瞬間、心に残る試合、そういうものを求めているのです。

もちろん、ただ心地よく聞き流すような音楽も、たまには良いと思います。
耳に障る、覚悟のいる音楽ばかりでは、こちらも疲れてしまうので。

ただ、やっぱり心が本気で求めている音楽は、聴く側にもある種の覚悟が必要な音楽なのかも知れません。
Peter Hammillとか頭脳警察とか、真剣に聴くとドッと疲れますからね。大好きだけど。

話が少し離れましたが、まあ、そんな風にマンガを読んで、音楽を聴いて、思いを巡らせて、幸せな充実した時間を過ごしました、というお話。

【追記】

本の帯に「アニメーション映画化決定!!」と書かれています。
(情報としては既に知っていたけど)

3巻を読んだ時のブログタイトルが「静止画が描く音」でした。
マンガのコマを見て、心の中に音が鳴るというような事を書いたのですが、アニメとなると、絵は動くし、実際に音も鳴るわけで、さて、どうなるのでしょうか…
期待と不安と半々ではありますが、なんにしろ楽しみです。

静止画(漫画のコマ)が描く音

※コミック『BLUE GIANT EXPLORER』3巻(最新巻)のネタバレ、というか内容表現が含まれています。

石塚真一『BLUE GIANT EXPLORER』3巻を読んだ。
これは「世界一のジャズプレーヤー」を目指す男のお話。

このシリーズを読んでいると、ふいに、ぶわっと涙が溢れ出してしまう事がよくあります。

この巻でも、やはりそんな瞬間がありました。

アレックスのドラムソロがドドドドド、ダダダダダとしばらくつづき、大がサックスを構える。
ページをめくると、見開き2ページぶち抜きで、上のコマにサックスを吹く大、下のコマにドラムを叩くアレックスが大きく描かれている。
音を表すような擬音表現文字など、一切無し。
この見開きを見た瞬間に心の中にドラムとサックスが鳴り響き、涙が溢れ出しました。

ここにいたるまでの演奏シーンには大体、音(を表現する文字)が入っているのですが、「ここ!」というシーンには無音(というか文字が無い)になる、と同時に、心の中で音が鳴り響くという、この感覚。
毎回やられてしまいます。
圧倒的な音の表現に何度泣かされたか。

どうして泣いてしまうのかよくわからないのだけど・・・・・・
もちろんここに至るまでの物語、大とアレックスの心の動きもありますが、そこに描かれた絵だけで、心の中に音が鳴り響く感覚がとにかくすごい。

次のページを見ると、アレックスがドラムを叩きながら泣いているではありませんか。
「やっぱり泣くよね・・・」

一度、全て読み終わってから、また、例の見開きページへ戻って、しばし、心の中の音に浸りました。