映画『リトル・フォレスト』
私を形成しているもの
今の自分を形成する一部になっていると言えるほど印象に残る様々なものを「私を形成しているもの」としてとりあげていきます。他のSNSなどに投稿したものを加筆修正して再掲載しているものもあります。
※この下に書かれた年号は作品の発表年ではなく私がその作品に初めて触れた(と思われる)年。またはそのイベント、出来事を経験した年。
※ただの思い出話です。
2018
『リトル・フォレスト』夏・秋 2014年 日本
『リトル・フォレスト』冬・春 2015 日本
まったくなんの前知識もなく、ネット配信で観た映画。
特に何を期待して観たというわけではないのだけど、自分にとって大切な映画のひとつになりました。
自然豊かな場所が舞台という事、橋本愛が出ている事、それだけをタイトルと画像から感じ取り、説明文などは全く読まずに適当に夏・秋編をはじめに観たのだけど、これ、実は順番があった。
この映画『夏』『秋』『冬』『春』の順番。
4部作でそれぞれが1時間程度の映画になっている。
公開時には、夏・秋編、冬・春編、として2本一組で上映されたとの事。
たまたま、順番通りに観る事が出来て良かった・・・と、春編のラストを観た時に思うのだけど、それまではさほど話の展開など気にならなかった。
というのは、この映画、自然豊かな北国の小さな集落で一人暮らす女性、いち子(橋本愛)の日々を、(特に食べ物に焦点をあてて)淡々と描いているような作りになっているから。
田畑を耕し、野山で山菜や果実を採り、自給自足に近い生活をしているいち子。
作物を育て、収穫し、料理し、食べる。
料理方法を本人のモノローグで解説する。
ちょっと田舎暮らし料理紹介のドキュメンタリー映画みたいな作りで、なんとなくそれだけを描いているような感じもしてくるのだが、いち子の母が突然失踪した事、いち子は一度都会に出たのだが都会の生活に疲れて田舎に戻った事などが、徐々に明かされていく。
そんな感じ。
まあなんというか、とにかく、美しく愛おしい映画でした。
それぞれの季節ですっかり表情を変える野山、田畑の風景がとにかく美しく愛おしい。
農作物や果実、それを使って作られる料理の数々がとにかく美しく愛おしい。
そこで暮らす人々の姿がとにかく美しく愛おしい。
そしていち子が美しく愛おしい。
いち子が友人キッコ(松岡茉優)と過ごす時間も好き。
この映画には、美しく愛おしいもの、好きが溢れています。
悲しさや切なさも描かれていますが、それを抱えて生きる姿がまた愛おしく思えてきます。
この映画を観ると、何か心が少しだけきれいになるような気がします。
日々の生活で体と心にまとわりついた汚れを落としてくれるような、そんな感覚。
※この文章は、2020年に他SNSに投稿したものを加筆修正して掲載しています