私を形成しているもの
今の自分を形成する一部になっていると言えるほど印象に残る様々なものを「私を形成しているもの」としてとりあげていきます。他のSNSなどに投稿したものを加筆修正して再掲載しているものもあります。
※この下に書かれた年号は作品の発表年ではなく私がその作品に初めて触れた(と思われる)年。またはそのイベント、出来事を経験した年。
※ただの思い出話です。
1975
映画『バングラデシュのコンサート』(1972年日本公開)
1971年8月1日、ニューヨーク、マジソン・スクエア・ガーデンで行われた、バングラデシュ救済コンサートのドキュメンタリー映画。日本では1972年に映画館で公開された(らしい)。
私が観たのは1975年。
中学3年生の時、同級生でビートルズ先輩のA君と2人で行った『ビートルズ映画祭』で上映されたもの。
この映画は、映画としてだけでなく、音楽的な意味でも、間違いなく「私を形成しているもの」。
当時まだ、ボブ・ディランもエリック・クラプトンもレオン・ラッセルも、レコードを持っていない、それぞれの音楽をちゃんと聴いた事のない中学生でしたが、とにかくその姿に、音に、大興奮しました。
大体、ロックスターが動く姿を見る機会がほとんどない時代だったので、興奮度合いもものすごかった。
ジョージ・ハリスンの颯爽としたかっこいい姿!
エリック・クラプトンの渋い立ち姿!
レオン・ラッセルのド迫力の歌と演奏!
ビリー・プレストンのはじけっぷり!
リンゴ・スターがまたかっこいい!
アコースティックギター1本(とハーモニカ)だけで1人弾き語るボブ・ディランの存在感!
淡々とした歌いっぷりなのに、妙に心に刺さる、一度聴いたら忘れられない歌。
「女の如く」では両サイドに、ジョージ・ハリスンとレオン・ラッセルを従え、1本のマイクで「♪Just Like a Woman」と歌う場面に、思わず「おお!」と声が出るほどに興奮。
そこからラストにかけての怒涛のたたみかけがまたすごく「Something」で涙が出るほど感動し、そしてついにラスト、アンコールの「Bangla-desh」、ジョージの歌の迫力、演奏の迫力と一体感、すべてのアーティストの魂がひとつになって音を叩きだしているような迫力にぞくぞくするような興奮と感動を覚えた。
ジョージは歌い終わるとギターを置きひとり先にステージを降りる、そこから画面にはエンドロールがかぶり、演奏がさらに高まる。映画が終わったあとも実際にコンサートを観終えたかのような興奮状態が続いていた。
ロック免疫ゼロの中学生にとっては、それほど大きな衝撃だったのだ。
その後しばらく興奮状態はつづき、ほどなく中学生にとっては大変高価な3枚組LPレコード『バングラデシュのコンサート』を購入。
そして、そこから徐々に、ボブ・ディラン、レオン・ラッセル、エリック・クラプトンらのレコードを買い集めるようになり、さらにジェシ・エド・デイヴィスやビリー・プレストン、さらにさらにそこから派生してデラニー&ボニー、ジョー・コッカーなども聴くようになる。
ただ、そちら(スワンプロック)方面だけにズブズブと深くはまり込むわけではなく、同時にプログレやグラムロックも好きになっていったので、広く少しだけ深く様々なロック系音楽を聴くようになっていくのでした。
そういうわけで、ロック音楽への道標にもなった映画、私にとって特別な意味を持つ映画と言えるのです。